ウサミとマヒロ

#3

「なんでお前は、俺を好きになってしもたん? やっぱ顔か?」

一悶着経て、ボーッとスコーン齧りながら言う宇佐美の横で、真宏は「アホか」と突っ込む。

「まあでも顔に惹かれなきゃ中身を知ろうとは思わないよね」
「うわぁ〜!! まひくんピュアハートやと思っとったけど、強かやなぁ〜!!」

ゲラゲラ笑われるけど、それをチラリと横目で見て溜め息吐く。

「ね、先輩。ちゃんと夏休みだけ付き合ってくれる?」

念の為先程の会話の確認のためにそう問えば、宇佐美は「んぉー? んー」と曖昧な返事をした。

「え、何、嫌なの? なんで?」

ジリジリ詰め寄ると、宇佐美はパッと目を逸らしつつ諦めたように再び真宏に視線を戻した。

「……別にええけどさぁ……俺、……お前を好きにならへんよ?」

少しだけ、ツキリと胸が痛んだ。でもそれは初めから分かっている。
この人は、俺を好きになってはくれないだろう、と分かっている。

「お前に近づいたのも、頼ったのも、お前が他の人間より裏表無いからやし、……せやから、勘違いさせてしもたんはすまんのやけどさぁ……」

「……いいんです別に。貴方が俺を好きになるとか端から思ってないんで」
「へ?」

真宏の中で何となく諦めはついているんだ。

「……けどその上で、俺は貴方と恋人ごっこがしてみたいんです。好きにならないんなら、こんな年下の遊びに付き合ってくれても、いいでしょう?」

ただの遊びなのだから。

「……まあええけど。……俺、マジで好きな奴居るで。ほんまにそれでええの? 真宏は、そういう遊びするタイプとちゃうやん」

じゃあ付き合ってくれるのか、……そう言ってしまえたら、ラクだけど、宇佐美の困る顔は見たくない。

……てか好きな人、居たんだ。

「いいんです、ごっこで。その好きな人に呼ばれたらそっち優先してくれて構いません。俺は単なる暇つぶしとして付き合ってもらえればいいので」

にっこり笑って言えば、宇佐美は「はぁ……」と深い溜息を吐いた。

「……なら、……ええけど」

迷惑なんだろうな、きっと。
分かる、分かるけど、……ちょっとぐらい俺も宇佐美に愛されてみたいんだよ。


……だから、ごめん。
少しだけ、俺を見ていてください。