#9
*
「じゃあ、お世話になりました」
四人は玄関で律儀に頭を下げ挨拶をする。
「うん。気を付けて帰ってね」
皆は来た時と変わらぬ騒がしさを纏って「また学校で」と言い、帰っていった。
玄関が締まりしんと静まり返った家の中になんだか寂しさを感じる。
ついさっきまでここに皆がいたんだと思うと不思議な感覚だ。
ソファに座りふと手元に何かがあたり目をやると、お昼に投げつけられた玩具菓子の箱だった。
「これ、先輩のじゃん……」
明日持っていくか、と思いなんとなく箱の裏側を見たら、メモが貼ってあることに今更気が付いた。
「“まひろの”? 」
目をやればそのメモには黒のボールペンでそう書いてあった。にしてもきったない文字だな。
宇佐美が書いたのか? ……いやほんと字汚いな。
しかしなんとなく捨てがたくて、興味なんてなかったけれど箱を開けてみた。
するとこの玩具は低年齢の男の向けだったようで、中から赤い[[rb:なんとかレンジャー > ・・・・・・・・・]]のデフォルメキーホルダーが出て来た。
あの人なんでこれ買ったんだ……? 好きなのか? こういう戦隊ものが……。
光に透かして見てもキャラの体が透けるわけはない。
真宏はこんなの趣味ではないし、もらったところで「おお……」って感じだったけれど、やはり何故か捨てる気にはならなかった。
筆箱にでもつけようか。
そう思い残った外箱を捨てようと箱を掴んだ時、ぽとりと中からガムが落ちてきて少しびっくりした。
そっか玩具菓子だから食えるものもちゃんと入ってるのか。
落ちてきたチューイングガムを噛みつつ、宇佐美からのメモをは別に取って箱は捨てた。
そのメモもなんとなく筆入れにしまおうかと裏面を見たら、ここにも悪戯のように端っこに小さく文字が書かれていた。
“こないだは すまんかった”
「……ふふ」
同じ汚い字で紡がれた、たった十一文字を撫でる。
この文字だけで宇佐美の気まずそうな顔が浮かんでくる。
「馬鹿だなぁ」
意地になった自分も、真宏に怯えた宇佐美も。
久しぶりに噛んだガムは酷く甘く感じた。
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「じゃあ、お世話になりました」
四人は玄関で律儀に頭を下げ挨拶をする。
「うん。気を付けて帰ってね」
皆は来た時と変わらぬ騒がしさを纏って「また学校で」と言い、帰っていった。
玄関が締まりしんと静まり返った家の中になんだか寂しさを感じる。
ついさっきまでここに皆がいたんだと思うと不思議な感覚だ。
ソファに座りふと手元に何かがあたり目をやると、お昼に投げつけられた玩具菓子の箱だった。
「これ、先輩のじゃん……」
明日持っていくか、と思いなんとなく箱の裏側を見たら、メモが貼ってあることに今更気が付いた。
「“まひろの”? 」
目をやればそのメモには黒のボールペンでそう書いてあった。にしてもきったない文字だな。
宇佐美が書いたのか? ……いやほんと字汚いな。
しかしなんとなく捨てがたくて、興味なんてなかったけれど箱を開けてみた。
するとこの玩具は低年齢の男の向けだったようで、中から赤い[[rb:なんとかレンジャー > ・・・・・・・・・]]のデフォルメキーホルダーが出て来た。
あの人なんでこれ買ったんだ……? 好きなのか? こういう戦隊ものが……。
光に透かして見てもキャラの体が透けるわけはない。
真宏はこんなの趣味ではないし、もらったところで「おお……」って感じだったけれど、やはり何故か捨てる気にはならなかった。
筆箱にでもつけようか。
そう思い残った外箱を捨てようと箱を掴んだ時、ぽとりと中からガムが落ちてきて少しびっくりした。
そっか玩具菓子だから食えるものもちゃんと入ってるのか。
落ちてきたチューイングガムを噛みつつ、宇佐美からのメモをは別に取って箱は捨てた。
そのメモもなんとなく筆入れにしまおうかと裏面を見たら、ここにも悪戯のように端っこに小さく文字が書かれていた。
“こないだは すまんかった”
「……ふふ」
同じ汚い字で紡がれた、たった十一文字を撫でる。
この文字だけで宇佐美の気まずそうな顔が浮かんでくる。
「馬鹿だなぁ」
意地になった自分も、真宏に怯えた宇佐美も。
久しぶりに噛んだガムは酷く甘く感じた。

