#8
「ご馳走様でした」
皆で手を合わせる。
「あ、真宏。片付けは作らなかった組でやるよ」
「え、いいよ別に」
ハゼの言葉に遠慮すると、久我が「いいからいいから」と肩に手を置いてきた。
「ほらうさ先輩も行くよ」
ハゼに連れられた宇佐美は何だかけだるそうに「んー」と返事をして立ち上がっていた。
そのまま三人で何やら騒ぎながら片づけをしてくれているので、真宏はマオとゆっくりすることにした。
「あいつら、うるっさいな」
片付けるだけなのにぎゃあぎゃあ何かしているので、横目で見ているとマオがぼそりと話しかけてくる。
「……なあ、仲直りできた? 」
そんなことを言われ、真宏たった今思い出したように「あっ」と声を出した。
そんな事すっかり忘れていた。
「え、お前忘れてたとか言わねぇよな」
驚いた顔で言われ、困った顔で「あはは」と笑って誤魔化しておく。
マオは真宏の反応で察したのかテーブルに突っ伏しながら「俺の苦労が……」とか言っている。
その台詞を不思議に思い「苦労? 」と訊けば「何でもない」と顔を逸らされてしまった。
「なぁ真宏~。食器洗ったやつどうすればいい? 」
ハゼの声に「そこ置いておいて~」と返す。
三人は洗い終わったらしくこっちに戻ってきた。
さっきと同じ位置に座った三人。
ふと宇佐美が立ち上がり「ベランダつこてええ? 」と声をかけてきた。
「ベランダ? トイレなら家の中ですけど」
「誰が外でするかアホ」
頭をチョップされつつ「いいですよ」と返す。
「さぁ、これから何しようねぇ~」
ハゼはちょっと眠そうに言った。
「皆で昼寝は? 」
久我の提案にマオはバッと立ち上がって「は、破廉恥じゃねぇか!? 」と叫ぶ。
その場にいた全員で「なにがだよ」とツッコんだ。
三人はあーでもないこーでもないと話していて、特に話題のなかった真宏はなんとなくベランダに出て行った宇佐美に目をやりギョッとした。
こちらに背中を向け一人の時間を満喫させている宇佐美から紫煙が漂っているのが見えたのだ。
真宏は慌ててベランダに行き「先輩」と声をかける。
「なんでくんねん。外出てんのに」
呆れた顔をされるも、こちらもムッとし返して指さした。
「未成年喫煙、ダメ、絶対」
そういうと宇佐美はじっと何かを考えたのち、ふわりと甘い香りをさせながら真宏に顔を近づけて囁いた。
「……未成年じゃない……て言うたら、どないする? 」
くすり、と笑う宇佐美の憂いな表情にドクンッと心臓が鳴った。
「……未成年だよ。俺も、先輩も」
ぼそりと返せば宇佐美はくくっと笑って「一本だけ」と言った。
「ねぇ、先輩」
「ん? 」
ベランダに腰を下ろす宇佐美の横にしゃがみ、真宏はずっと気になっていたことを聞いた。
「……ご飯あんまり美味しくなかった? 」
「え、なんで? 」
驚いた顔をされ、真宏は膝に顔を埋めたまま答える。
「先輩皆の事誤魔化してあんまり食べてなかったし……。食べ終わったあと、ちょっと体調悪そうだったじゃん」
そういうと、宇佐美は思い当たる節があるのか「あー」と呟いて黙り込んでしまった。
やはり不味かったのだろうな……。
真宏はいたたまれなくなって、小さく「上手く作れなくてごめんなさい……」と謝る。
涼雅のような料理はまだ自分には作れないのだろうな。
美味しいとただ笑ってもらえたら、と思っただけだったけれどそれは自分にはまだ早かったようだ。
沈んだ気分を隠すこともせずに顔を隠していると、宇佐美は真宏の頭を大胆に撫でて「ちゃうちゃう」と言った。
その台詞にぱっと顔を上げると、そこには優しい顔をした宇佐美が真宏を見つめていた。
「俺、人の作ったもん[[rb:あかん > ・・・]]ねん」
「え? 」
宇佐美は視線を前に戻してぼんやりと空を見た。
「せやからもう何年も食って無くてな。なんつーか、作った奴の存在を認知すると……言い方は悪いんやけど、気色悪いてなんねん」
そ、んなの……知らなかった。なんで、って訊いていいのかな。
……訊いたら答えてくれるのかな。
「……あれ、でも俺のごはんは食べてたよね? お昼の時の弁当とか」
思い出して言うと宇佐美は不思議そうな顔をして口を開いた。
「……それが不思議やねん。なんかな、真宏の料理はキラキラして美味そうに見えんねんな。せやから、あ、これ真宏作ったやつやって分かる」
そんな言葉を無邪気に言われ、瞬間的に顔が熱くなってしまう。
「俺、真宏の料理は平気」
……なんだよ、それ。
「そう、ですか」
そんな、人を口説くようなセリフをそんな無邪気に言われたら、どうしたらいいか分からないじゃん。
お前なら大丈夫、その台詞は酷く狡い。
「よし、中はいろか」
「体調は? 平気なの? 」
立ち上がる宇佐美に訊けば、「おう。ピンピンやわ」と笑って中に入っていった。
「……なんだよ」
……本当に顔色戻ってんじゃん。
やっぱよくわかんないな、アイツ。
真宏は背伸びをして室内に戻る宇佐美の後を追った。
「ご馳走様でした」
皆で手を合わせる。
「あ、真宏。片付けは作らなかった組でやるよ」
「え、いいよ別に」
ハゼの言葉に遠慮すると、久我が「いいからいいから」と肩に手を置いてきた。
「ほらうさ先輩も行くよ」
ハゼに連れられた宇佐美は何だかけだるそうに「んー」と返事をして立ち上がっていた。
そのまま三人で何やら騒ぎながら片づけをしてくれているので、真宏はマオとゆっくりすることにした。
「あいつら、うるっさいな」
片付けるだけなのにぎゃあぎゃあ何かしているので、横目で見ているとマオがぼそりと話しかけてくる。
「……なあ、仲直りできた? 」
そんなことを言われ、真宏たった今思い出したように「あっ」と声を出した。
そんな事すっかり忘れていた。
「え、お前忘れてたとか言わねぇよな」
驚いた顔で言われ、困った顔で「あはは」と笑って誤魔化しておく。
マオは真宏の反応で察したのかテーブルに突っ伏しながら「俺の苦労が……」とか言っている。
その台詞を不思議に思い「苦労? 」と訊けば「何でもない」と顔を逸らされてしまった。
「なぁ真宏~。食器洗ったやつどうすればいい? 」
ハゼの声に「そこ置いておいて~」と返す。
三人は洗い終わったらしくこっちに戻ってきた。
さっきと同じ位置に座った三人。
ふと宇佐美が立ち上がり「ベランダつこてええ? 」と声をかけてきた。
「ベランダ? トイレなら家の中ですけど」
「誰が外でするかアホ」
頭をチョップされつつ「いいですよ」と返す。
「さぁ、これから何しようねぇ~」
ハゼはちょっと眠そうに言った。
「皆で昼寝は? 」
久我の提案にマオはバッと立ち上がって「は、破廉恥じゃねぇか!? 」と叫ぶ。
その場にいた全員で「なにがだよ」とツッコんだ。
三人はあーでもないこーでもないと話していて、特に話題のなかった真宏はなんとなくベランダに出て行った宇佐美に目をやりギョッとした。
こちらに背中を向け一人の時間を満喫させている宇佐美から紫煙が漂っているのが見えたのだ。
真宏は慌ててベランダに行き「先輩」と声をかける。
「なんでくんねん。外出てんのに」
呆れた顔をされるも、こちらもムッとし返して指さした。
「未成年喫煙、ダメ、絶対」
そういうと宇佐美はじっと何かを考えたのち、ふわりと甘い香りをさせながら真宏に顔を近づけて囁いた。
「……未成年じゃない……て言うたら、どないする? 」
くすり、と笑う宇佐美の憂いな表情にドクンッと心臓が鳴った。
「……未成年だよ。俺も、先輩も」
ぼそりと返せば宇佐美はくくっと笑って「一本だけ」と言った。
「ねぇ、先輩」
「ん? 」
ベランダに腰を下ろす宇佐美の横にしゃがみ、真宏はずっと気になっていたことを聞いた。
「……ご飯あんまり美味しくなかった? 」
「え、なんで? 」
驚いた顔をされ、真宏は膝に顔を埋めたまま答える。
「先輩皆の事誤魔化してあんまり食べてなかったし……。食べ終わったあと、ちょっと体調悪そうだったじゃん」
そういうと、宇佐美は思い当たる節があるのか「あー」と呟いて黙り込んでしまった。
やはり不味かったのだろうな……。
真宏はいたたまれなくなって、小さく「上手く作れなくてごめんなさい……」と謝る。
涼雅のような料理はまだ自分には作れないのだろうな。
美味しいとただ笑ってもらえたら、と思っただけだったけれどそれは自分にはまだ早かったようだ。
沈んだ気分を隠すこともせずに顔を隠していると、宇佐美は真宏の頭を大胆に撫でて「ちゃうちゃう」と言った。
その台詞にぱっと顔を上げると、そこには優しい顔をした宇佐美が真宏を見つめていた。
「俺、人の作ったもん[[rb:あかん > ・・・]]ねん」
「え? 」
宇佐美は視線を前に戻してぼんやりと空を見た。
「せやからもう何年も食って無くてな。なんつーか、作った奴の存在を認知すると……言い方は悪いんやけど、気色悪いてなんねん」
そ、んなの……知らなかった。なんで、って訊いていいのかな。
……訊いたら答えてくれるのかな。
「……あれ、でも俺のごはんは食べてたよね? お昼の時の弁当とか」
思い出して言うと宇佐美は不思議そうな顔をして口を開いた。
「……それが不思議やねん。なんかな、真宏の料理はキラキラして美味そうに見えんねんな。せやから、あ、これ真宏作ったやつやって分かる」
そんな言葉を無邪気に言われ、瞬間的に顔が熱くなってしまう。
「俺、真宏の料理は平気」
……なんだよ、それ。
「そう、ですか」
そんな、人を口説くようなセリフをそんな無邪気に言われたら、どうしたらいいか分からないじゃん。
お前なら大丈夫、その台詞は酷く狡い。
「よし、中はいろか」
「体調は? 平気なの? 」
立ち上がる宇佐美に訊けば、「おう。ピンピンやわ」と笑って中に入っていった。
「……なんだよ」
……本当に顔色戻ってんじゃん。
やっぱよくわかんないな、アイツ。
真宏は背伸びをして室内に戻る宇佐美の後を追った。

