ウサミとマヒロ

#7

「はいできましたよー。……うわ、テーブルぐらい片付けとけよ」
あまりの散らかりように呆れながら言えば、「お母さんだ」「ママだ」「おかんや」とまた口々に馬鹿言っている。
「なんだこれきったねぇな。片付けねぇなら飯やんねぇからな」
マオが舌打ちしながら言うと、三人は「親父だ」「パパじゃん」「おとんやな」と言った。
そうやってふざけつつもやっと片付けたので、ご飯を持ってダイニングテーブルに置いていく。
「わ! 生姜焼きじゃん! まひママ大好き~! 」
「誰がママだ」
くっついてくるハゼを退かし、皆で手を合わせる。
「いただきます」の掛け声がそろい各々食べたいものへ箸を伸ばした。
「うまー!! 」
ハゼが顔をほころばせそう言ってくれるので、真宏も思わず頬が緩む。
「やべぇよ真宏。お前はいい嫁になるぞ」
久我のセリフに反論しようとしたら何故かマオが「な、何言ってんだ!! 」と赤い顔で怒っていてハゼがふきだしていた。
なんとなく隣の男が動いていないような気がしてふと隣に座る宇佐美を見てみれば、何故か箸を持ってじっとしているので、真宏は不思議になり声をかけてみた。
「どうしたの? 先輩。嫌いなものあった? 」
そう訊くと宇佐美はハッとしてニパッとした笑顔を咄嗟に作った。
あ、嘘の顔だ。
「ちゃうちゃう。これ全部真宏作ったん? 」
ニコニコ訊かれ「うん」と返す。
「これはにゃんこが作ったん? 」
宇佐美が指をさしたのはカブの和え物と生姜焼きだった。
「え、うん……生姜焼きは二人で作ったけど……なんでわかったの? 」
吃驚して見上げると、宇佐美は何も言わず微笑んだ。
「ほな真宏のだけ食お〜」
宇佐美のセリフにマオは「なんだとー!? 」と怒鳴る。
それをハゼに「黙りな」と言われていた。
宇佐美は何でもないような顔をしてマオ先輩を今もからかっているが、笑う宇佐美の顔色がなんとなくよくないように思えて、心がざわついた。