#4
日曜の夜、真宏は家族で食卓を囲み談笑していた。
……と言っても今ここに居るのは、六つ上の兄とひとつ下の妹だけ。今日の夕飯は涼雅が担当だった。ボリュームもあるし味も美味しい。
「そういえば真宏、お弁当箱二個も買って……誰か好きな子でも出来たの?」
味噌汁を啜りながら涼雅聞かれた真宏は、キョトンとした。
「なんで好きな人?」
「バッカねェ。誰かに弁当作って持ってくってまるで彼女じゃん」
杏に呆れたように言われ、真宏は「え?そうなの?」と驚く。
食べ物を作って持っていく行為の何処が彼女に繋がるのだろうか。好きだからそういった手間もかけられる、という事なのか。
「……いや、そういうつもりじゃないんだけど」
「え、何だ?困り事か?なんかあったのか?」
涼雅が心配モードに入ってしまったので、真宏は慌てて首を横に振って否定をした。
「ち、違うよ!ただ、友達が細くて青白くて全然食べないから心配で、持ってったら食べてくれるかと思っただけだから」
そう言うと、涼雅は安心したように「なんだぁ〜」とニコニコする。
「えー?ただの友達にそこまでするー?」
しかし杏からの疑いはまだ晴れていないようで、じとり、と怪しげな目を向けられてしまう。
「しない?」
そう聞き返すと、杏は「まぁ私はしないけど、兄さん達はするだろうね。ドのつくお人好しで過保護だし」と言って食べるのを再開した。
なんか褒められた気がしないんだけど……。
「もしアレならその子、お家に呼んであげても良いんだよ?もしかしたら、あんまり家で食えない事情があるのかもしれないし」
「うん……。あまりにも酷そうだったら、言ってみる」
ミニトマトを食べつつ頷くと、涼雅は「そうしなさい!」と真宏に、にっこりと笑いかけた。
「うちは児相じゃないんだからね」
しっかり者の杏に釘を刺され、「……分かってるよ」と、納得いかないまま一応頷いておいた。
真宏は明日のために、先日焼かれてしまったナップザックとブランケットとクッションを買い直したし、お弁当も二個作った。
明日呼ばれなかったら全部意味無いけど、一週間呼ばれないなんて事は多分きっと無いだろうとなんとなく思っていた。たこさんウィンナーと、卵焼きと、今回は甘めに作れたほうれん草の胡麻和え、それから、ミートボールと小さく切った焼き鮭を入れて、にっこり笑う。
レパートリーもっと増やさなきゃな。
……先輩、食べるかな。食べてくれるといいんだけど。
自分が学食には行かないから呼び出されない日の宇佐美の食生活が分からない。……というかそもそも真宏は、宇佐美の事を何にも知らない。
宇佐美の一人歩きの噂ばかり耳にして、『本当』の宇佐美を知らない。最も、宇佐美自身も噂を否定したりしていないようだし、彼が自分を語る事も無い。
きっと他人からの評価は気にしない人なのだろう、と真宏は勝手に納得していた。
「あれ?真宏。また新しいブランケットとクッション買ったのか?こないだ買ってなかった?」
いつの間にか後ろに立っていた涼雅に気づかれ、ギクリとする。
「あれ、さっき話してた友達にあげたから自分用に買った」
「そしたら、3個も必要になったの?」
自分の分と宇佐美の分、そして真面目な真宏はこの間脅してきた猫宮にもクッションとブランケットを買ったのだった。
「……その友達、クッションとブランケットのコレクターらしくて……」
そんな苦しい言い訳ではバレるだろうか……、と恐る恐る涼雅を見ると、涼雅はいたって不思議そうに納得していた。
「えぇっ、そんな子いるんだ……」
いるわけないだろ……。
しかし、天然な兄は無事き騙されてくれたのでこっそり息を吐いた。
「あれ?ナップザックも?」
「……その友達が、ナップザックも集めようかなぁ〜って言うから……」
「……変わってるね」
「……そうなんだよ」
ほへぇ、と阿呆みたいに納得する実兄を見てちょっと心が傷んだ。ここに杏が居たら「馬鹿じゃないの?」と言われ鋭く突っ込まれて居ただろうが、今は風呂に行っているので運が良かった。これ以上何か聞かれる前に寝てしまおうと、兄におやすみを告げ、いそいそと自室へ戻った。
……明日、俺の弁当であの顔色に少しでも血の気が戻ってくれたらな……。
何故ここまで自分が宇佐美を思い行動しているのか、真宏は自分自身の心の変化を疑問に思う。
けれど何となく、宇佐美の事を考えている時間にワクワクしている自分が居た。
日曜の夜、真宏は家族で食卓を囲み談笑していた。
……と言っても今ここに居るのは、六つ上の兄とひとつ下の妹だけ。今日の夕飯は涼雅が担当だった。ボリュームもあるし味も美味しい。
「そういえば真宏、お弁当箱二個も買って……誰か好きな子でも出来たの?」
味噌汁を啜りながら涼雅聞かれた真宏は、キョトンとした。
「なんで好きな人?」
「バッカねェ。誰かに弁当作って持ってくってまるで彼女じゃん」
杏に呆れたように言われ、真宏は「え?そうなの?」と驚く。
食べ物を作って持っていく行為の何処が彼女に繋がるのだろうか。好きだからそういった手間もかけられる、という事なのか。
「……いや、そういうつもりじゃないんだけど」
「え、何だ?困り事か?なんかあったのか?」
涼雅が心配モードに入ってしまったので、真宏は慌てて首を横に振って否定をした。
「ち、違うよ!ただ、友達が細くて青白くて全然食べないから心配で、持ってったら食べてくれるかと思っただけだから」
そう言うと、涼雅は安心したように「なんだぁ〜」とニコニコする。
「えー?ただの友達にそこまでするー?」
しかし杏からの疑いはまだ晴れていないようで、じとり、と怪しげな目を向けられてしまう。
「しない?」
そう聞き返すと、杏は「まぁ私はしないけど、兄さん達はするだろうね。ドのつくお人好しで過保護だし」と言って食べるのを再開した。
なんか褒められた気がしないんだけど……。
「もしアレならその子、お家に呼んであげても良いんだよ?もしかしたら、あんまり家で食えない事情があるのかもしれないし」
「うん……。あまりにも酷そうだったら、言ってみる」
ミニトマトを食べつつ頷くと、涼雅は「そうしなさい!」と真宏に、にっこりと笑いかけた。
「うちは児相じゃないんだからね」
しっかり者の杏に釘を刺され、「……分かってるよ」と、納得いかないまま一応頷いておいた。
真宏は明日のために、先日焼かれてしまったナップザックとブランケットとクッションを買い直したし、お弁当も二個作った。
明日呼ばれなかったら全部意味無いけど、一週間呼ばれないなんて事は多分きっと無いだろうとなんとなく思っていた。たこさんウィンナーと、卵焼きと、今回は甘めに作れたほうれん草の胡麻和え、それから、ミートボールと小さく切った焼き鮭を入れて、にっこり笑う。
レパートリーもっと増やさなきゃな。
……先輩、食べるかな。食べてくれるといいんだけど。
自分が学食には行かないから呼び出されない日の宇佐美の食生活が分からない。……というかそもそも真宏は、宇佐美の事を何にも知らない。
宇佐美の一人歩きの噂ばかり耳にして、『本当』の宇佐美を知らない。最も、宇佐美自身も噂を否定したりしていないようだし、彼が自分を語る事も無い。
きっと他人からの評価は気にしない人なのだろう、と真宏は勝手に納得していた。
「あれ?真宏。また新しいブランケットとクッション買ったのか?こないだ買ってなかった?」
いつの間にか後ろに立っていた涼雅に気づかれ、ギクリとする。
「あれ、さっき話してた友達にあげたから自分用に買った」
「そしたら、3個も必要になったの?」
自分の分と宇佐美の分、そして真面目な真宏はこの間脅してきた猫宮にもクッションとブランケットを買ったのだった。
「……その友達、クッションとブランケットのコレクターらしくて……」
そんな苦しい言い訳ではバレるだろうか……、と恐る恐る涼雅を見ると、涼雅はいたって不思議そうに納得していた。
「えぇっ、そんな子いるんだ……」
いるわけないだろ……。
しかし、天然な兄は無事き騙されてくれたのでこっそり息を吐いた。
「あれ?ナップザックも?」
「……その友達が、ナップザックも集めようかなぁ〜って言うから……」
「……変わってるね」
「……そうなんだよ」
ほへぇ、と阿呆みたいに納得する実兄を見てちょっと心が傷んだ。ここに杏が居たら「馬鹿じゃないの?」と言われ鋭く突っ込まれて居ただろうが、今は風呂に行っているので運が良かった。これ以上何か聞かれる前に寝てしまおうと、兄におやすみを告げ、いそいそと自室へ戻った。
……明日、俺の弁当であの顔色に少しでも血の気が戻ってくれたらな……。
何故ここまで自分が宇佐美を思い行動しているのか、真宏は自分自身の心の変化を疑問に思う。
けれど何となく、宇佐美の事を考えている時間にワクワクしている自分が居た。

