だけど、ノートに並ぶ文字の鋭さからは、サクの私という『もう一人の自分』への、どこか冷静で、けれど確かな問いかけの温度がまっすぐ伝わってくる。
「……私は、あなたの敵じゃないよ」
誰もいない部屋で、静かに呟く。
このノートに、返事を書こう。
自分が何者なのか、これからどうしていくべきか、サクを安心させるための全てを、ここに残さないといけない。私が、これ以上、サクの人生を壊すだけの不気味な幽霊にならないために。
私は深く息を吸い込み、自分の意思で、初めてノートの白い余白にペン先を落とした。
サクのスクエアな筆跡とは違う、私自身の、少し丸くて不器用な文字が紙の上に静かに刻まれていく。
『勝手にアイス食べてごめんね。まず、私の名前は君が朔夜っていうなら私は明夜にします。これからは私のことはアキって呼んでね。夢みたいな話だけど本当の話だからよく読んでね。というかやっと気づいたね。本当はずっと昔から君の中にいるんだよ?結論から言うと、昔は君が眠った後の時間に目が覚めてたの。要するに、君が眠ったら私が起きて、私が眠ったら君が起きるって感じだったんだけど、最近、徐々に私の起きてられる時間が長くなったんだよね。だからって何かしたいわけじゃないの。君の体を乗っ取ろうとか考えてない。むしろ君に体を返したい。だから協力して、このノートを使って私を消す方法探していこうね。』
書き終えた瞬間、ペンを持つ手が小さく震えた。
窓の外からは、朝を告げる鳥の声が静かに聞こえ始めていた。私の主導権の時間が、ゆっくりと終わりを告げようとしている。身体の奥から、心地よい、だけど逆らえない眠気が私を水底へと引っ張り戻そうと近づいてくる。
私はノートをそっと開いたまま机の上に置き、ベッドへと戻って、ゆっくりと横になった。
次に目が覚めたとき、サクは私のこの文字を読んで、どんな顔をするだろう。少しでも、あの頭を悩ませていた謎の答えになってくれたらいいな。
深い眠りの水底へと意識が沈んでいく中、私は自分が勝手につけて「アキ」という響きを胸の奥で大切に抱きしめながら、静かに目を閉じた。
これが、私たちの、すべての始まり――。
「……私は、あなたの敵じゃないよ」
誰もいない部屋で、静かに呟く。
このノートに、返事を書こう。
自分が何者なのか、これからどうしていくべきか、サクを安心させるための全てを、ここに残さないといけない。私が、これ以上、サクの人生を壊すだけの不気味な幽霊にならないために。
私は深く息を吸い込み、自分の意思で、初めてノートの白い余白にペン先を落とした。
サクのスクエアな筆跡とは違う、私自身の、少し丸くて不器用な文字が紙の上に静かに刻まれていく。
『勝手にアイス食べてごめんね。まず、私の名前は君が朔夜っていうなら私は明夜にします。これからは私のことはアキって呼んでね。夢みたいな話だけど本当の話だからよく読んでね。というかやっと気づいたね。本当はずっと昔から君の中にいるんだよ?結論から言うと、昔は君が眠った後の時間に目が覚めてたの。要するに、君が眠ったら私が起きて、私が眠ったら君が起きるって感じだったんだけど、最近、徐々に私の起きてられる時間が長くなったんだよね。だからって何かしたいわけじゃないの。君の体を乗っ取ろうとか考えてない。むしろ君に体を返したい。だから協力して、このノートを使って私を消す方法探していこうね。』
書き終えた瞬間、ペンを持つ手が小さく震えた。
窓の外からは、朝を告げる鳥の声が静かに聞こえ始めていた。私の主導権の時間が、ゆっくりと終わりを告げようとしている。身体の奥から、心地よい、だけど逆らえない眠気が私を水底へと引っ張り戻そうと近づいてくる。
私はノートをそっと開いたまま机の上に置き、ベッドへと戻って、ゆっくりと横になった。
次に目が覚めたとき、サクは私のこの文字を読んで、どんな顔をするだろう。少しでも、あの頭を悩ませていた謎の答えになってくれたらいいな。
深い眠りの水底へと意識が沈んでいく中、私は自分が勝手につけて「アキ」という響きを胸の奥で大切に抱きしめながら、静かに目を閉じた。
これが、私たちの、すべての始まり――。

