ウツシアイ

月日は流れ、高校一年生になった今でもこの関係は続いている。彼女とは毎日入れ替わっているわけではなく、不定期で、割合で言えば六対四の割合で僕の方が多い。大抵は一日で入れ替わりは終了するが、二日間に延びることもある。彼女はその間も僕として学校に行き、僕として部活も行い、僕として過ごしている。
おばあちゃんとおじいちゃん。そして駿はこのことを知っている。
これは高校に上がる直前の話だ。僕の家には監視カメラが仕掛けられていた。それは僕のことを監視するものではなく、自宅に飼っていた犬を監視するためのものだった。そして、それの存在を僕は彼女に伝えていなかった。それが良くなかったのだ。彼女はたまたまカメラの前で女の子の格好をして化粧をして遊んでいた。それを母に見つかってしまった。それを僕が起きている時に咎められ…といった形だ。それから母はそんな僕を気味悪がって少し離れたところに住む父方の祖父母に引き取られた。そのことにアキはすごく自分を責めていて、ものすごく謝罪をしていたが、元々母のことはあまり好きではなかったので少しだけ感謝してるまである。嫌いというわけではないが、少し苦手なのだ。
駿は僕が遠くの高校を受験すると話したら何故か僕と同じ高校を受験していて、なぜか僕の今住んでいるところの近くで一人暮らしをしている。元から一人暮らしをする予定があったとか言っていたけど、真意は不明だ。とにかく、僕は駿には感謝しているし、頭があがらない。そして、意外と言ったら失礼かもしれないが、彼は僕の話をすんなりと信じてくれたし、最初からわかっていたような感じだった。やっぱり同じ見た目とはいえ、性格…というか性別までもが違うから身近な人にはバレてしまうのだなとその時思った。
そんな彼だから僕はずっと一緒にいるし、そんな彼だから彼女のことも任せている。
ここで、さっき僕がした『叶わぬ恋』の話に戻る。
そう。僕は鏡の中の彼女に恋をしてしまった。
これが叶わぬ恋というやつだ。そして、恋というものは厄介なもので、好きという感情を頭では殺していても、心が追いついてくれない。経緯についてだが、これがまた厄介で、気づいたらといった感じだ。
もちろん、誰にも言うつもりなんてないし、ましてや本人?にも伝えるつもりもない。
毎朝、ノートを見てため息をついてしまうのも叶わぬ恋とわかっているのに楽しみにしている自分に嫌気がさすから。
いつかこの気持ちの整理がつくことを切に願っている。