「うん…!私、こんな場所があるなんて知らなかった。連れてきてくれて本当にありがとう。駿、めいさん」
私が心の底から感謝を伝えると、駿はふっと優しく目を細めた。
「お礼なら、俺じゃなくてサクに言ってあげな。あいつ、箱根に行く前、アキが書いた日記を何度も何度も読み返してたんだよ。『アキがあんなに楽しそうに旅をしていたから、僕も同じ景色が見たくなった。』ってさ」
「…え?」
風の中で私の動きがピタリと止まった。
「あいつ、言葉にはしないけどさ。アキのことが、愛おしくて仕方ないんだと思うよ。自分と同じ見た目で、だけど自分とは違う。もう一人の自分。…だからアキが無理してるのを見て、自分のこと以上に胸を痛めてたんだよ」
駿の言葉が、激しい風に乗って、私の胸の奥の一番深い場所にストンと落ちた。
サクが私を愛おしく思ってくれている。
それがどんな種類の感情なのか、今の私にはわからない。だけど、姿も見えず、触れることもできない私という存在を、サクは誰よりも一人の人間として全力で慈しみ、守ろうとしている。
『いちばんたいせつなことは、目に見えない』
めいさんの言葉が、再び脳裏をよぎる。
姿は見えなくても、私たちは確かに、この世界の誰よりも強く繋がっている。
目から熱いものが溢れそうになって、私は慌てて空を見上げた。十月の青空は、どこまでも高くて、優しかった。
島を一巡りし、さまざまなお店を巡っているうちに、気づけば周囲は夕暮れの色に染まり始めていた。
私たちは島を降り、片瀬海岸の砂浜へと足を運んだ。
昼間の鮮やかな青はどこへやら、西の空は燃えるような茜色から深い紫色のグラデーションへと移り変わっている。波が静かに打ち寄せるたびに、濡れた砂浜が鏡のように夕日を反射して、まるで魔法の世界に迷い込んだみたいにだった。
めいさんは靴を脱いで、波打ち際で楽しそうにステップを踏んでいる。
「アキ先輩!駿先輩!早く来てください!」
「めいちゃん、風邪ひくなよー」
駿は呆れながらも、スマホのシャッターを押し続けている。
私は少し湿った砂を踏みしめながら、波の音を聞いていた。
楽しかった。寂しさを忘れるくらい、胸がちぎれそうになるくらい、幸せな一日だった。
私が心の底から感謝を伝えると、駿はふっと優しく目を細めた。
「お礼なら、俺じゃなくてサクに言ってあげな。あいつ、箱根に行く前、アキが書いた日記を何度も何度も読み返してたんだよ。『アキがあんなに楽しそうに旅をしていたから、僕も同じ景色が見たくなった。』ってさ」
「…え?」
風の中で私の動きがピタリと止まった。
「あいつ、言葉にはしないけどさ。アキのことが、愛おしくて仕方ないんだと思うよ。自分と同じ見た目で、だけど自分とは違う。もう一人の自分。…だからアキが無理してるのを見て、自分のこと以上に胸を痛めてたんだよ」
駿の言葉が、激しい風に乗って、私の胸の奥の一番深い場所にストンと落ちた。
サクが私を愛おしく思ってくれている。
それがどんな種類の感情なのか、今の私にはわからない。だけど、姿も見えず、触れることもできない私という存在を、サクは誰よりも一人の人間として全力で慈しみ、守ろうとしている。
『いちばんたいせつなことは、目に見えない』
めいさんの言葉が、再び脳裏をよぎる。
姿は見えなくても、私たちは確かに、この世界の誰よりも強く繋がっている。
目から熱いものが溢れそうになって、私は慌てて空を見上げた。十月の青空は、どこまでも高くて、優しかった。
島を一巡りし、さまざまなお店を巡っているうちに、気づけば周囲は夕暮れの色に染まり始めていた。
私たちは島を降り、片瀬海岸の砂浜へと足を運んだ。
昼間の鮮やかな青はどこへやら、西の空は燃えるような茜色から深い紫色のグラデーションへと移り変わっている。波が静かに打ち寄せるたびに、濡れた砂浜が鏡のように夕日を反射して、まるで魔法の世界に迷い込んだみたいにだった。
めいさんは靴を脱いで、波打ち際で楽しそうにステップを踏んでいる。
「アキ先輩!駿先輩!早く来てください!」
「めいちゃん、風邪ひくなよー」
駿は呆れながらも、スマホのシャッターを押し続けている。
私は少し湿った砂を踏みしめながら、波の音を聞いていた。
楽しかった。寂しさを忘れるくらい、胸がちぎれそうになるくらい、幸せな一日だった。

