「さ、アキ。それ持って早く駅のトイレで着替えてこい。サクのやつ、アキの書く日記楽しみしてるから思いっきり楽しんで土産話作ってやんなきゃな」
駿のその言葉に私は涙がこぼれそうになるのをグッと堪え、深く、深く頷いた。
「…うん!行ってくる!」
私はサクの鞄を大切に抱え、駆け足で駅のレストルームへと向かった。サクの服に着替えたら、私だけの、特別な一日が始まる。
駅のレストルームの鏡の前で、私はサクの鞄のファスナーをゆっくりと引いた。
引き出されたのは、私たちの部屋のクローゼットにいつもかかっていた、見慣れたネイビーのオーバーサイズのパーカーだった。
サクが自分の手でこれを選び、あの不器用な手で鞄にぎゅっと詰めてくれたのだと思うと、それだけで胸の奥が痛いくらいに甘くなった。
制服を脱ぎ、サクのパーカーにそっと腕を通す。
「……っ」
首元までジッパーを引き上げた瞬間にサクの匂いが身体を包んだ。
いつもノートを開くときに微かに香る、あの落ち着く匂いだ。
鏡に映す私は、サクの身体そものだ。けれど、制服を脱いで彼のクローゼットにあった服を纏っただけで、心は完全に一人の『女の子』として、サクに恋をする私だった。
スクールバッグとサクの鞄を両手に抱え、少し俯きがちに改札前に戻ると、真っ先にこちらを振り向いためいさんが両手を口元に当てて息をのんだ。
「アキ先輩、遅――ってえええ!可愛いです!」
めいさんは目をキラキラ輝かせながら、私の周りをぐるぐる回り始めた。
「そのブカブカした感じのパーカー、アキ先輩にすごく似合ってます!女の子らしくて可愛いです!」
「え、ありがとう。めいさん…。でもこれ、サクの服なんだよね」
褒めちぎられて恥ずかしくなり、私は思わずパーカーの長い袖を顔で隠すように俯きながら白状した。
「え、これ朔夜先輩の私服なんですか?」
めいさんは驚いてパチパチと瞬きをする。隣にいた駿は、いつものサクの服を着た私をじっと見つめていたが、やがてフッと呆れたような、だけど、すごく優しい笑みを浮かべた。
「なるほどな。サクが着てる時はただのストリート系なのに、アキが着ると全然雰囲気違うわ。…って照れてないで早くいくぞ。電車の時間がもったいない」
駿のその言葉に私は涙がこぼれそうになるのをグッと堪え、深く、深く頷いた。
「…うん!行ってくる!」
私はサクの鞄を大切に抱え、駆け足で駅のレストルームへと向かった。サクの服に着替えたら、私だけの、特別な一日が始まる。
駅のレストルームの鏡の前で、私はサクの鞄のファスナーをゆっくりと引いた。
引き出されたのは、私たちの部屋のクローゼットにいつもかかっていた、見慣れたネイビーのオーバーサイズのパーカーだった。
サクが自分の手でこれを選び、あの不器用な手で鞄にぎゅっと詰めてくれたのだと思うと、それだけで胸の奥が痛いくらいに甘くなった。
制服を脱ぎ、サクのパーカーにそっと腕を通す。
「……っ」
首元までジッパーを引き上げた瞬間にサクの匂いが身体を包んだ。
いつもノートを開くときに微かに香る、あの落ち着く匂いだ。
鏡に映す私は、サクの身体そものだ。けれど、制服を脱いで彼のクローゼットにあった服を纏っただけで、心は完全に一人の『女の子』として、サクに恋をする私だった。
スクールバッグとサクの鞄を両手に抱え、少し俯きがちに改札前に戻ると、真っ先にこちらを振り向いためいさんが両手を口元に当てて息をのんだ。
「アキ先輩、遅――ってえええ!可愛いです!」
めいさんは目をキラキラ輝かせながら、私の周りをぐるぐる回り始めた。
「そのブカブカした感じのパーカー、アキ先輩にすごく似合ってます!女の子らしくて可愛いです!」
「え、ありがとう。めいさん…。でもこれ、サクの服なんだよね」
褒めちぎられて恥ずかしくなり、私は思わずパーカーの長い袖を顔で隠すように俯きながら白状した。
「え、これ朔夜先輩の私服なんですか?」
めいさんは驚いてパチパチと瞬きをする。隣にいた駿は、いつものサクの服を着た私をじっと見つめていたが、やがてフッと呆れたような、だけど、すごく優しい笑みを浮かべた。
「なるほどな。サクが着てる時はただのストリート系なのに、アキが着ると全然雰囲気違うわ。…って照れてないで早くいくぞ。電車の時間がもったいない」

