外から見えている駿の目に映るほど、アキは自分を追い詰めていた。
「アキのノート、最近毎日、劇のメモで隙間もないくらい真っ黒なんだ。僕のために…アドバイスとかも事細かく書いてる。僕はそれに甘えてた…僕はバカだ…」
僕は奥歯を噛み締め、自分の手の平をじっと見つめた。
倒れそうなほど無理をしているアキを、直接抱きとめてやることも、「休め」と言って頭を撫でてやることも、僕にはできない。同じ身体にいる僕にはできない。彼女の痛みを身体で受け取ることしかできない自分が、猛烈に悔しかった。
「サク…」
不安そうな駿を見て、僕はふと、少し前に駿と交わした約束を思い出した。
ーー『近場でも良いから。夏休み中にアキとどこか行ってきてくれないか?』
あの時はアキが一人で旅をしていたことが可哀想だったから駿に頼んだ。それは結局部活とかが忙しくて叶わなかったらしいが、もう猶予はない。今すぐにアキを劇のプレッシャーから引き剥がさないといけない。
「駿、僕が夏休みに一緒に行った箱根で頼んだこと覚えてるか?」
「あー、近場でいいから一緒に行ってあげてほしいってやつか?」
「そう、それ。今度アキが表に出た時、どこでもいいから連れ出してほしい。もしあれならめいさんも誘っていいから」
僕は声のトーンを落として、駿の目をまっすぐに見つめた。
駿はしばらく僕の顔をじっと見つめていたが、やがて呆れたように、だけど、どこか温かい笑みを浮かべてため息をついた。
「お前らさ、本当にお互いのことしか考えてねえのな」
「……うるせえよ」
「わかったよ。めいちゃんにも俺からちゃんと話しておく。アキとめいちゃんと三人でちょっと遠出でもしてくるわ。三人で江ノ島あたりまで行こうかな。あそこなら海もあるし、美味いもの食って劇のことなんて忘れてのんびりできんだろ」
「江ノ島…?近場でもいいって言ったのに、ちょっと遠くないか?」
「それくらいの方が息抜きになるって。夏休みにどこも連れてってやれなかったぶん、三人で思いっきり埋め合わせしないとなアキのことは俺たちに任せとけ。…サク。後で文句言うなよ?」
「言うわけねえだろ。頼んだぞ、駿」
駿の力強い言葉に、僕の胸の支えが少しだけ軽くなるのを感じた。
頼んだぞ、駿、めいさん。アキのこと、僕の代わりに笑わせてあげてくれ。
「アキのノート、最近毎日、劇のメモで隙間もないくらい真っ黒なんだ。僕のために…アドバイスとかも事細かく書いてる。僕はそれに甘えてた…僕はバカだ…」
僕は奥歯を噛み締め、自分の手の平をじっと見つめた。
倒れそうなほど無理をしているアキを、直接抱きとめてやることも、「休め」と言って頭を撫でてやることも、僕にはできない。同じ身体にいる僕にはできない。彼女の痛みを身体で受け取ることしかできない自分が、猛烈に悔しかった。
「サク…」
不安そうな駿を見て、僕はふと、少し前に駿と交わした約束を思い出した。
ーー『近場でも良いから。夏休み中にアキとどこか行ってきてくれないか?』
あの時はアキが一人で旅をしていたことが可哀想だったから駿に頼んだ。それは結局部活とかが忙しくて叶わなかったらしいが、もう猶予はない。今すぐにアキを劇のプレッシャーから引き剥がさないといけない。
「駿、僕が夏休みに一緒に行った箱根で頼んだこと覚えてるか?」
「あー、近場でいいから一緒に行ってあげてほしいってやつか?」
「そう、それ。今度アキが表に出た時、どこでもいいから連れ出してほしい。もしあれならめいさんも誘っていいから」
僕は声のトーンを落として、駿の目をまっすぐに見つめた。
駿はしばらく僕の顔をじっと見つめていたが、やがて呆れたように、だけど、どこか温かい笑みを浮かべてため息をついた。
「お前らさ、本当にお互いのことしか考えてねえのな」
「……うるせえよ」
「わかったよ。めいちゃんにも俺からちゃんと話しておく。アキとめいちゃんと三人でちょっと遠出でもしてくるわ。三人で江ノ島あたりまで行こうかな。あそこなら海もあるし、美味いもの食って劇のことなんて忘れてのんびりできんだろ」
「江ノ島…?近場でもいいって言ったのに、ちょっと遠くないか?」
「それくらいの方が息抜きになるって。夏休みにどこも連れてってやれなかったぶん、三人で思いっきり埋め合わせしないとなアキのことは俺たちに任せとけ。…サク。後で文句言うなよ?」
「言うわけねえだろ。頼んだぞ、駿」
駿の力強い言葉に、僕の胸の支えが少しだけ軽くなるのを感じた。
頼んだぞ、駿、めいさん。アキのこと、僕の代わりに笑わせてあげてくれ。

