付き合いたいとか、触れたいとか、そんな未来は最初から用意なんてされていない。
だから僕は、この狂おしいほどの恋を『叶わぬ恋』として、とっくに諦めている。日記の中に綴られているアキの無邪気な言葉に、これ以上、期待とかせずに。ただの『同居人』として彼女の幸せだけを願おうと、自分の心に厳重に鍵をかけている。
「ふーん、まぁサクがそれでいいならいいけどさ」
親友は僕の嘘を見抜くことなく、ポンポンと僕の肩を叩いた。
「ほら、手が止まってるぞサク。失敗なんてしないように頑張らないとだろ」
「わかってるよ。駿も脇役といえど劇に出るんだからな」
僕は苦笑いを浮かべ、再び黄色いペンキを段ボールに走らせた。
祝日の特別な喧騒が響く教室で、僕の心の中の秘密は、より一層深く、静かに沈んでいった。
『九月二十三日』
目が覚めて、窓から差し込む朝の光がいつもより優しく見えた。
身体を起こし、自分の大きな手のひらを見つめる。いつものように指先を動かす感覚が、すんなりと私に馴染んでいった。
日毎にランダムで変わる私たちの主導権。九月の三連休。その最終日を私が引き当てた。誰がいつ表に表に出るのかわからないからこそ、こうして朝を迎えて主導権があることがわかった瞬間はいつも宝くじが当たったようで少し嬉しかったりする。それでも昔はそんなことなくて自分の体ではないからこそ、彼の人生を私がこの一日で変えてしまうかもという恐怖に駆られていた時期もあったのに不思議なものだ。
机の上の交換日記を開くと、昨日のクラスで頑張ったことが事細かく書かれていた。どうやら、彼も乗り気らしく嬉しく思う。最初はクラスのすすめだったけど、私はずっとひっそりしていることがどうやら嫌だったらしく、勧めてくれたことが嬉しく思えた。彼に相談もなしに『いいよ』と言ってしまったことは悪いと思ってる。
日記の最後に書かれている。『一緒に頑張ろうな』という文字に心が躍った。
彼への愛しさを胸に、私はいつも通り男の子の制服に袖を通した。彼が繋いでくれたこの身体を動かす一歩一歩が、今の私には愛おしくてたまらなかった。
心の中で『私、頑張るから』と誓いながら、祝日の静かな通学路を弾むような足取りで駆け抜けた。
外見は彼だけど、中身は別の人間で女の子。そんな秘密を抱えたまま、私は校門を通った。
だから僕は、この狂おしいほどの恋を『叶わぬ恋』として、とっくに諦めている。日記の中に綴られているアキの無邪気な言葉に、これ以上、期待とかせずに。ただの『同居人』として彼女の幸せだけを願おうと、自分の心に厳重に鍵をかけている。
「ふーん、まぁサクがそれでいいならいいけどさ」
親友は僕の嘘を見抜くことなく、ポンポンと僕の肩を叩いた。
「ほら、手が止まってるぞサク。失敗なんてしないように頑張らないとだろ」
「わかってるよ。駿も脇役といえど劇に出るんだからな」
僕は苦笑いを浮かべ、再び黄色いペンキを段ボールに走らせた。
祝日の特別な喧騒が響く教室で、僕の心の中の秘密は、より一層深く、静かに沈んでいった。
『九月二十三日』
目が覚めて、窓から差し込む朝の光がいつもより優しく見えた。
身体を起こし、自分の大きな手のひらを見つめる。いつものように指先を動かす感覚が、すんなりと私に馴染んでいった。
日毎にランダムで変わる私たちの主導権。九月の三連休。その最終日を私が引き当てた。誰がいつ表に表に出るのかわからないからこそ、こうして朝を迎えて主導権があることがわかった瞬間はいつも宝くじが当たったようで少し嬉しかったりする。それでも昔はそんなことなくて自分の体ではないからこそ、彼の人生を私がこの一日で変えてしまうかもという恐怖に駆られていた時期もあったのに不思議なものだ。
机の上の交換日記を開くと、昨日のクラスで頑張ったことが事細かく書かれていた。どうやら、彼も乗り気らしく嬉しく思う。最初はクラスのすすめだったけど、私はずっとひっそりしていることがどうやら嫌だったらしく、勧めてくれたことが嬉しく思えた。彼に相談もなしに『いいよ』と言ってしまったことは悪いと思ってる。
日記の最後に書かれている。『一緒に頑張ろうな』という文字に心が躍った。
彼への愛しさを胸に、私はいつも通り男の子の制服に袖を通した。彼が繋いでくれたこの身体を動かす一歩一歩が、今の私には愛おしくてたまらなかった。
心の中で『私、頑張るから』と誓いながら、祝日の静かな通学路を弾むような足取りで駆け抜けた。
外見は彼だけど、中身は別の人間で女の子。そんな秘密を抱えたまま、私は校門を通った。

