ウツシアイ

戸惑いながらも本を受け取ると、「感想。また聞かせてください」と笑った。どこか罪悪感を覚えながらもアキの折角の友達を嫌な気分にさせるわけにもいかず、このままアキとして接することにした。
「ついでに借りたいものがあるんだけどいいかな」
「大丈夫ですよ。タイトル教えていただければ、場所も教えますよ」
「『星の王子さま』って本なんだけど」
そういうと、パソコンでカタカタ文字を打ち始めてから「あー」と残念がっている反応をした。
「それ、今借りられちゃってますね」
それは残念だな。まぁでもこの感じだとアキがここをよく利用しているみたいだし、本が返却されたら貸してもらうように言えば、平気だろう。そう思った。
「じゃあ、それ返却されたら教えてほしいんだけど」
「いいですよ。それでしたら…その…もしよかったら連絡先とかって交換しませんか?」
僕にそう言ってきた。髪を耳にかける仕草、その時に耳まで赤く染められていることを見えてしまった。そして、この上目遣い。間違いない。この名前も知らない女の子はアキと言う人間。僕と言う顔に好意を抱いている。勘違いだったら申し訳ないのだが、この感じ間違いないと思う。
「ごめん。今日、携帯家に忘れてきちゃったんだ」
「そう…ですか…。でも最大の貸出期間が一週間なので一週間後にまた来てくれれば貸せると思います」
「ありがとう。じゃあ、またね」
「はい!また今度!」
図書室を出て、バレてないと言う安心と、これからのことで不安が同時に来てしまった。

『九月三日』
アキの友達との一件があった次の日。僕は自分一人でどうすることもできないと判断し、駿に相談することにした。
駿に真剣な顔で相談があると話すと、「じゃあ、俺の家で話すか」と言うのでお邪魔することにした。
「それで、相談って?」
僕の前にお茶の入ったコップを置いて、そのまま僕の前に座った。
「アキがさ。僕の知らないうちに図書室で友達作ってたみたいなんだよな」
「へぇ、アキに友達か。よかったじゃん。いつもサクの中に閉じ込められてて退屈そうだったし」
「これが良くないんだよ。その、話がややこしくなっててさ。その子この学年で見たことないし、見た感じ一個下っぽいんだけどさ。アキのこと男の先輩としてガチで惚れちゃってるみたいなんだよね」