ウツシアイ

軽く周りを見回してみても、「確かに…」とか「いいね」と賛成の言葉が飛び交っていた。どうしたものか…。私はやってみたい。でももし仮に二日間ともサクになってしまったら、と考えてしまう。助けを求めるべく駿の方に目をやると笑って親指を立ててグッドをしていた。
「こんな僕でもいいなら…やらせてもらおうかな」
口が勝手に動いていた。少なくとも私はやってみたかった。サクには後で日記で謝っておこう。そう思った。

『九月二日』
日記を読んでまず感じたことは、僕が思っているよりアキに今まで我慢をさせていたということ。そして、クラスのみんなの僕へのイメージがだんだんと僕からアキになってきている、ということだった。
これに関してはアキがやりたいというのならやればいいと思っている。
いつも通り学校に行くと、駿に謝られた。
「わりーまじで」
「何で謝るんだよ。僕は別に目立つのが嫌いとかじゃないし、むしろアキには今まで我慢とかさせてきたんだし、やりたいようにやってくれればそれでいいよ」
文化祭当日、主導権がアキであることが大前提だが。仮に僕でも期待を裏切るようなことはしないつもりだ。
「サクがそういうなら。まぁいいのか」
「それで、駿は何やるんだ?」
「俺はエキストラだよ。地球のバラたちの一員だよ」
「なんだよ。メインキャストじゃないのかよ」
「俺が演技なんてできるわけないだろ。本当は裏方とかやりたかったくらい」
「苦手って…やったことないだろ」
放課後になり、部活がないので僕は一人で図書室を訪れていた。駿は用事があるからと、先にに帰ってしまった。ここにきた理由はもちろん『星の王子さま』を借りるためだ。
「あ、朔夜さん。こんにちは」
図書室に入るなり、貸し出し受付にいる女の子に話しかけられた。
僕は彼女のことを知らない。でも、彼女は僕のことを知っている。もしかしたらアキの友達?だろうか。そういえば、アキから駿以外の友達のことを聞いたことなかった。駿曰く、アキはいつも一人でいるとか言っていたから友達がいないと思っていたがちゃんといるらしい。駿も知らなかったのかもしれない。
「えっと…本を借りたいんだけど。いいかな」
「あ、朔夜さんにおすすめの本があるんですよ」
そう言って一冊の本を僕に差し出してきた。
「ありがとう…」