夕暮れの心地のいい風が吹く帰り道。少し赤くなっているお互いの顔を見て、僕らは日常へと戻るバスへと乗り込んだ。
『八月十二日』
朝目が覚めると、どこかでかいだことのある匂いが鼻を刺激した。すぐに匂いの正体はわかった。
「あ、これ…」
この間行った箱根で入った温泉の匂いだ。でも今更なんでだろうと考えてもわからないので起き上がり、昨日あったことを日記で確認するために起きあがろうとしても、足が筋肉痛で動けなかった。
「まさか…」
体を起こして机へと向かう。日記帳の隣に写真が置いてあった。見たことある写真。
日記帳を開き、サクの書いた文字を凝視して読み始めた。
『八月十一日
別に、他意があったわけじゃない。
アキがあまりにも楽しそうに日記を書くから、本当にアキの言う通りの場所なのか気になっただけだ。
今日、僕はアキの書いたルートをそのまま駿と一緒に歩いたよ。
駅前のアイスは美味かった。感想なんかはうまく書けないからあえて書かない。
僕は感性が豊かじゃないから美術館じゃ芸術がわからなかったけど、見ていて面白かったし、大涌谷は黒たまごは出来立てを食べたけど美味かった。
アキの足跡をなぞるたびに、答え合わせをしている気分で楽しかった。
ただ、最後に浸かったあの温泉。あそこだけ調子が狂った。
お湯に浸かった瞬間、妙に体が熱くなった。この温泉にアキも浸かったのかと思ったら、どうにも落ち着かなかった。同じ体を共有している宿命とはいえ、妙にアキの存在を近くに感じてしまった気がする。
家に帰ってきて、これを書いている今でも、僕の肩からアキが箱根に行った次の日。起きた時と同じ匂いがして落ち着かない。
僕の箱根巡りはこれで終わり。
アキのせいで信じられないくらい体がポカポカしている。理由は僕にもわからない。
最後に。アキの言う通り悪い旅ではなかった。じゃあ、おやすみ。』
読み終えた私は日記を机に置き、再びベッドにうつ伏せで寝転んで足をバタバタさせた。
「『アキのせいで』って何よ」
自分でもわからないくらい心臓がドキドキしている。彼から感じる愛情は家族愛だと思っていた。そもそも何で私行った箱根に行き、同じルートを辿っていたのか。真意はわからない。それでもなんだか嬉しくて口角が上がったまま下がらなかった。
『八月十二日』
朝目が覚めると、どこかでかいだことのある匂いが鼻を刺激した。すぐに匂いの正体はわかった。
「あ、これ…」
この間行った箱根で入った温泉の匂いだ。でも今更なんでだろうと考えてもわからないので起き上がり、昨日あったことを日記で確認するために起きあがろうとしても、足が筋肉痛で動けなかった。
「まさか…」
体を起こして机へと向かう。日記帳の隣に写真が置いてあった。見たことある写真。
日記帳を開き、サクの書いた文字を凝視して読み始めた。
『八月十一日
別に、他意があったわけじゃない。
アキがあまりにも楽しそうに日記を書くから、本当にアキの言う通りの場所なのか気になっただけだ。
今日、僕はアキの書いたルートをそのまま駿と一緒に歩いたよ。
駅前のアイスは美味かった。感想なんかはうまく書けないからあえて書かない。
僕は感性が豊かじゃないから美術館じゃ芸術がわからなかったけど、見ていて面白かったし、大涌谷は黒たまごは出来立てを食べたけど美味かった。
アキの足跡をなぞるたびに、答え合わせをしている気分で楽しかった。
ただ、最後に浸かったあの温泉。あそこだけ調子が狂った。
お湯に浸かった瞬間、妙に体が熱くなった。この温泉にアキも浸かったのかと思ったら、どうにも落ち着かなかった。同じ体を共有している宿命とはいえ、妙にアキの存在を近くに感じてしまった気がする。
家に帰ってきて、これを書いている今でも、僕の肩からアキが箱根に行った次の日。起きた時と同じ匂いがして落ち着かない。
僕の箱根巡りはこれで終わり。
アキのせいで信じられないくらい体がポカポカしている。理由は僕にもわからない。
最後に。アキの言う通り悪い旅ではなかった。じゃあ、おやすみ。』
読み終えた私は日記を机に置き、再びベッドにうつ伏せで寝転んで足をバタバタさせた。
「『アキのせいで』って何よ」
自分でもわからないくらい心臓がドキドキしている。彼から感じる愛情は家族愛だと思っていた。そもそも何で私行った箱根に行き、同じルートを辿っていたのか。真意はわからない。それでもなんだか嬉しくて口角が上がったまま下がらなかった。

