エアコンや扇風機が停められているせいで応援しているだけで汗が止まらなかったし、「パシィィン!」という大きなスマッシュ音がいつもの何倍も響いていた。
コートの主審が「トゥエンティ・オール」と告げた瞬間、心臓が跳ね上がった。あと二点。もし落とせば先輩の夏が終わる。
そして、二十一点先取の三ゲームマッチ。すでに一時間を超える死闘で、遠目からでも先輩の足が限界を迎えているのがわかった。それでも諦めることはなくて、必死に食らいついているのも見えた。
それでも結果、橘先輩は二回戦目で負けてしまい先輩の夏が終わってしまった。
試合終了の合図とともに、先輩はその場で両膝をついた。ユニフォームは絞れるほどの汗が吸っていて肌に張り付き、肩が激しく上下している。遠目から見てもその背中が小さく震えているのがわかった。
先輩はすぐに立ち上がると、ネットを挟んで相手選手、そして主審としっかりと握手を交わした。応援席にいる私たちに振り返り、少し困ったような笑顔で小さく手を振ってきた。でも、その目が酷く潤んでいることを僕は見逃さなかった。
トーナメント表の橘先輩の名前にばつ印がついた瞬間に、橘先輩の高校三年間の部活が終わってしまったことが現実になった気がした。
「こういう時、どんな声をかければいいのかな」
僕の隣に座っている駿が言った。
「…わかんないよ」
僕は小さく首を振ることしかできなかった。どんな言葉を選んでも、先輩の流した汗とか、涙。今もきっと感じている悔しさを、外側にいる僕らが軽々しく労わってはいけないような気がした。
自分が負けた時なんて涙どころか、まぁしょうがないよな。としか思えなかった。
周りを見ると、お祭りの終わりを察したようにそそくさと荷物をまとめていた。
彼らは勝って輝く先輩が好きだったのだろう。負けてしまった先輩にはもう興味がないのだろうか。
潮が引くように観客がさっていった。そんな様子を見て、僕は駿に「でも」と一つの提案をした。
「ほぼ毎日一緒に練習してた駿なら何を言っても嬉しんじゃないか」
「…そうかもな」
「僕は普段挨拶しかしてなかったから。先に帰るよ。じゃあ」
「いや、大丈夫だよ。先輩はサクのことも見てたし、俺一人で行っても変だろ」
「それもそうだな」
コートの主審が「トゥエンティ・オール」と告げた瞬間、心臓が跳ね上がった。あと二点。もし落とせば先輩の夏が終わる。
そして、二十一点先取の三ゲームマッチ。すでに一時間を超える死闘で、遠目からでも先輩の足が限界を迎えているのがわかった。それでも諦めることはなくて、必死に食らいついているのも見えた。
それでも結果、橘先輩は二回戦目で負けてしまい先輩の夏が終わってしまった。
試合終了の合図とともに、先輩はその場で両膝をついた。ユニフォームは絞れるほどの汗が吸っていて肌に張り付き、肩が激しく上下している。遠目から見てもその背中が小さく震えているのがわかった。
先輩はすぐに立ち上がると、ネットを挟んで相手選手、そして主審としっかりと握手を交わした。応援席にいる私たちに振り返り、少し困ったような笑顔で小さく手を振ってきた。でも、その目が酷く潤んでいることを僕は見逃さなかった。
トーナメント表の橘先輩の名前にばつ印がついた瞬間に、橘先輩の高校三年間の部活が終わってしまったことが現実になった気がした。
「こういう時、どんな声をかければいいのかな」
僕の隣に座っている駿が言った。
「…わかんないよ」
僕は小さく首を振ることしかできなかった。どんな言葉を選んでも、先輩の流した汗とか、涙。今もきっと感じている悔しさを、外側にいる僕らが軽々しく労わってはいけないような気がした。
自分が負けた時なんて涙どころか、まぁしょうがないよな。としか思えなかった。
周りを見ると、お祭りの終わりを察したようにそそくさと荷物をまとめていた。
彼らは勝って輝く先輩が好きだったのだろう。負けてしまった先輩にはもう興味がないのだろうか。
潮が引くように観客がさっていった。そんな様子を見て、僕は駿に「でも」と一つの提案をした。
「ほぼ毎日一緒に練習してた駿なら何を言っても嬉しんじゃないか」
「…そうかもな」
「僕は普段挨拶しかしてなかったから。先に帰るよ。じゃあ」
「いや、大丈夫だよ。先輩はサクのことも見てたし、俺一人で行っても変だろ」
「それもそうだな」

