ウツシアイ

これからも勉強頑張ってね。私も人と話せるように頑張るから。だから、これからもよろしくね。』

日記を読み終わり、恐る恐る点数を確認すると、アキに比べたら大したことないにしても去年自分が取った点数から大幅に上がっていた。
少しだけでも、彼女を安心させることができただろうか。アキがいなくても。というわけではなく、アキが僕を心配してくれているのは日記を読めばすぐにわかる。僕はもうアキに心配なんてかけたくない。
彼女の言う通り、これからも頑張っていこうと思った。ただ、彼女がいろんな人と話している姿を想像すると心がざわついた。それでも、それは自分勝手な感情だとわかっているので日記には書くわけない。そもそも他の人たちからしたら彼女は僕として見えているわけだから何も問題ないのだ。悲しいことだが、これが現実だ。
テストを引き出しにしまい、リビングに行って冷蔵庫を開けた。すると、本当にケーキが一切れ置いてあった。しかも、僕の好きなチーズケーキ。きっとおばあちゃんか駿に聞いたのだろう。少なくとも日記には書いていない。
僕はそれを取り出し、フォークを持ってテーブルに着き、食べた。
黙々と食べていると、おばあちゃんがリビングに入ってきて、そのまま僕の席の前に座った。
「おはよう、サク。美味しいかい」
「うん、うまい。めちゃくちゃ」
「それ、アキの手作りなんだよ」
「え?市販のやつだと思った。あいつ…ケーキとか作れたんだな」
それくらいに完成されていたし、美味しい。アキが料理ができる人だとは知らなかったな。
「たまに料理手伝ってくれるしね」
「そうなんだ…」
僕は家のことを手伝ったことがなかったし、アキが手伝っていることを知らなかった。僕と違ってアキは優しいんだ。
「随分と愛されてるね、サクは」
おばあちゃんはそう言っているけど、きっとそれは家族愛のようなもので、僕のとは違う。
「うん、そうみたいだね」
その後も黙々とケーキを食べ、食べ終わった時におばあちゃんが「そういえば」と僕に話しかけた。
「今日は送っていかなくて大丈夫かい?」
「いや、少し歩きたいから大丈夫。ありがとう」
今日は学校に行くが、行くのは午後からだ。学校はいつも通り朝からあるが、今日は遅刻していく。
三十分ほどで支度を終え、家を出る。
「行ってきます」