ウツシアイ

『七月十三日』
期末試験一日目。残念ながら苦手な科目を僕が担当することになってしまった。
壁に飾ってあるカレンダーを見て絶望した。
嘆いても仕方がないので、日記を読んで支度をする。
日記には頑張れ的なことが書かれていた。アキから応援されてしまったら頑張らざるを得ない。
苦手とはいえ、しっかりと勉強をしてきたので、大丈夫なはず。覚悟を決め、学校に向かった。
「どんまい、サク」
学校に到着して、駿と顔を合わせ、真っ先に言われたことがそれだった。
「何がだ」
自分でもわかっているけど、強がってそう返事をした。
「サクの苦手な数学じゃん。アキだったらよかったのにな。あいつ数学得意だし」
「得意科目とかあるんだな。全部満遍なく行けるのかと思ってた」
「それは努力してるからそう見えるだけ、逆に文系は苦手なんだよね。アキは」
僕よりアキのことについて詳しいのは当たり前なはずで、今までも受け入れていたのに、今になっていきなり不快感を感じてしまった自分に嫌気がさし、両手で自分の頬を叩いた。
「おい、どうした急に」
「いや、気合い入れただけ。この前も言っただろ、アキには迷惑かけたくないって」
「そうだな。頑張れよ」
そう言って駿は僕の背中を軽く叩いた。すると、さっきまで抱いていた不快感は消えていた。
無事?苦手な科目の数学?を終え、次の得意の世界史の準備をする。得意と言ってもアキほど点が取れるわけじゃない。今までは。もう一度言う。今までは。
「よし」
今まで答えはわからない箇所が何ヶ所かあったり、自信のない回答が多かったが、今回は答えが全て埋まり、これまでとは違い、すらすらと問題に対する答えが出てきた。だから思わず、ちいさなガッツポーズを決めてしまった。
すると後ろから駿が声をかけてきた。
「なんか調子良さげじゃん」
「今までに比べたらね」
「まぁ、残りの教科も頑張ろうな」
「おう」
そう言うと、駿は手を振りながら自分の席へと戻っていた。
三科目目の現代文Bも無事終わり、一日目の全ての科目がいい手応えで終わることができた。
早速帰宅し、日記に無事に手応えがあったことを書き、明日が自分でもいいように復習をしてからいつもの時間に就寝した。明日も本日同様に苦手な科目があるから、少しだけ罪悪感を感じながらもどうかアキでありますようにと願いながら目を閉じた。
初日のテストから三日が経過して、四日間に及ぶ期末試験が終了した。結論から言えば、今回のテスト全て僕が受けた。四日間変わらないことはよくあることだ。今回は運がよくなかった?いや、アキに迷惑が掛からなかったから運が良かったのか。
そして、さらに数日が経過した。
『七月二十二日』
期末試験の結果が返ってきた。運が悪いことに返却時はアキに変わっており、僕が結果を知ったのは返ってきた次の日である今日だった。
朝起きると、テストが机の上に広げられていて、その上に日記が開いたままで置かれていた。

『七月二十一日
よくできました!お祝いしないとね!冷蔵庫にケーキを買って入れておいたので食べてください。(もし明日も私ならもったいないので食べます)