ウツシアイ

今日は駿と二週間後に行われる期末試験に向けての勉強を行うため、駿の一人暮らしをしている部屋に来ていた。
「サクが勉強したいだなんて珍しいな」
ギリギリ二人がノートとか教科書を広げられるほどの小さなローテーブルで普通に試験勉強をしていたら、駿がそう言ってきた。そして、彼の言うとおり僕はあまり人前では勉強しない。たまにこの間みたいな小テストの時とかにちょろっと勉強しているくらいだ。
「今までアキに迷惑かけてきたからな。そろそろ自分で頑張ろうと思ってるだけだよ」
「サクも変わったってことか…。いかん、涙が…」
そう言って目を擦っているがどこか笑っている。嘘泣きなのだろう。
「駿は僕のお母さんか」
と自虐を含めたツッコミをいれ、再び勉強を再開させた。
駿は頭がいい。ので、僕がわからないところについて質問すると、「それはね」とすぐに答えが返ってくる。そして、アキとどこか似ていて、答えを直接教えてくれるなんてことはなくて、僕に考えさせるような答え方をしてくる。そんな感じて勉強をしていると、飽きてくるのは仕方のないことだ。だから、休憩がてら駿に質問を投げかけた。
「あのさ駿、アキのやつ学校でうまくやれてるか?」
高校生活が始まって一年とちょっとが経過して初めてした質問だった。
「サクの言ってるうまくやれてるって意味が普通に生活できてるのかって意味だったらやれてるよ」
「どう言う意味?」
「それがさ、ずっと言うか悩んでたんだけどさ。いまだに俺以外の人と話すの慣れてないんだよな。ほら、サクっって誰とでも話すってわけじゃないにしろ誰とでも基本的に話せるじゃん?でも、アキはいまだに緊張してるのかボソボソって喋っちゃうって言うか…。サクとギャップがあるって思われると困るじゃん?だからいつも俺がみんなに何かと理由つけて誤魔化してるんだけどさ」
アキは僕と違ってなんでも器用にこなす人なのだと思っていた。
「なんか…ごめん。迷惑かけて」
「いいや、迷惑だなんて思ってないよ。それと言っておくと、バトミントンもサクの方がうまいし」
「…え?」
「本当だよ。まぁ俺が言いたいのはお互いが足りない部分を補ってるんじゃないかってこと」
お互いを補っている…。要するに、僕の足りない部分を彼女が補うために生まれたと言うことなのだろうか…。