石橋は二人で渡れば怖くない

家族三人でご飯を食べる機会が減った。
帰ってくると、妹は自分の部屋でオンラインゲームをしている。一人で喋っているので、誰かと通話しているのだろう。

一人で夜ご飯を食べていると、母が隣に座り、妹の様子を話してくる。

「クラスでさ、こんなことがあったんだって」
「部活の大会、見に行ってこようかしら」
「おばあちゃんの庭の草取り手伝ったんだって、えらいよね」


一緒にいる時間は妹の方が長いし、昔から体が弱かったり、トラブル起こして手がかかると嘆いていた。その度に、あなたは偉い、本当に手がかからないと褒めてくれる。だから、余計に頑張らないとって思う。




でも、俺の話は、ちゃんと聞いてくれたことあった?





妹の進路の話を聞かされた時だった。
「ゲームばっかりで勉強できないし、諦めて、もう好きなことをやらせることにした」


勉強やらせようとしてたのも知ってるし、その度に妹が投げ出して、それに疲れるのは分かる。
真も頼まれて、勉強を教えたこともあったが、本人にやる気がなかったため、そうやって諦めるのも理解できる。






でも、俺も勉強が好きじゃないの、知ってる?






高一の期末テストが終わり、久々に家でゆっくり、三人でご飯を食べた。

「クラス2位だった」
最初のテストは10位、そこから徐々に順位を上げ、1位の人は抜かせなかったが、かなり頑張った結果だった。



頑張ったね、って言って欲しかった。



「さすが、あなたも見習いなさい」

「なんで兄弟なのにこう、差があるのかしら」

「ほんと、あなた達は足して2で割りたい」




なんで、頑張らない、いい子じゃない方ばかり見るの?
俺の努力は、どうして、褒めてくれないの?
足して2で割ったら、俺の努力は損じゃないか。



言いたくても、石橋を渡ろうとしても、「長男だから」「いい子だから」「二人のために」という言葉で、ぐるぐるに締めつけられて、動けない。



動けないから、ここには居たくない。



これを最後に、真は塾に通い詰めるようになった。