「あらおはよう、ヨリ子。朝ごはんできてるわよ〜」
わたしに気づいたママは本から顔を上げておっとりした口調でそう言った。
ママはいつも優しい。
優しいけど、どちらかというとマイペースで少しおっちょこちょいなところもあって、それが今日は仇でしかない。
「ちょっとママ!どうして起こしてくれなかったの!」
「ええ?あれ?今何時かしら」
「わたしあと5分で家出ないと間に合わない!」
「あらら、大変。ごめんなさいね、この新作のレシピ本ちょっぴり複雑でね、どうすれば時短になるか考えるのに夢中になっていたから時間を気にする余裕がなかったのよ~」
「あーもう!せっかくの誕生日なのに朝からダッシュするなんて最悪!ママのばかー!」
「そんなこと言われても……ヨリ子はもう高校生なんだから自分で早起きできるようにならなきゃ。いつまでもママに頼ってちゃだめよ」
「でも昨日言ったじゃん!寝るの遅くなるから今日だけは絶対起こしに来てねって!」

