「……有料ですか」
「ハハッ、誕生日割引でタダにしてやる」
「割引っていうんですかそれ」
そもそも無料なのに何を割り引いたんだろう。
誕生日プレゼントってことにすればいいのに、なんて喉の奥でつぶやいて塀にもたれる。
「母ってのは偉大なんだよ」
「偉大?」
「篠原、お前が産まれる前はどこにいた?」
「……ママのお腹の中です」
「そうだ。それじゃ今日は何の日だ」
「わたしの誕生日」
「それと?」
「……それとって?」
わたしの誕生日以外に何かあるの?
ママの誕生日でもパパの誕生日でもないし、結婚記念日は別の日らしいし、誰かの何かのアニバーサリーなんて思い当たらない。
「篠原。誕生日はお前だけのものだと思うか?」
「えっと……はい、友だちも今日はわたしが主役だって言ってくれました」
「まあそれも正解だが、お前ひとりだけが主役ってわけでもない」
ひとりだけ、の「だけ」を強調して腕を組むまっつん。
誕生日じゃない主役が他にもいるってこと?
「つまり……?」
「今日は、母さんもがんばった日さ」

