「言いたくないならいいけど。せっかく年に一度の誕生日なんだからもっと腹の底から笑えたほうがいいだろ」
ついてこい、と言って立ち上がるまっつん。
どんどん行ってしまう背中を急いで追いかける。
職員室から出てすぐそこの扉を開いて手招きするまっつんに駆け寄ると。
そこはグラウンドが見下ろせる外階段。
上履きのままジャリ、と砂の混じったコンクリートを踏む。
秋の風が肌を撫でる。
冷たくもなく温かくもない、ちょうどいいぬるさ。
グラウンドにはサッカー部と野球部がせっせと走り回ったりボールを追いかけたり拾ったり。
隅には陸上部が飛んだり伸びたり動き回っている。
見えないけれど近くで吹奏楽部のいろんな楽器の音も聞こえる。
ほどよく騒がしい放課後の校舎。
青春してるなあ、なんて渦中にいるわたしが思うのも変だけど。
「なんか叫んでみるか?グラウンドに向かって」
まっつんはその青春を指さしてそう言った。
本当に変な人だな、とつくづく呆れた。
でもそんなふうに言われたら、グラウンドに叫ぶよりまっつんに愚痴ったほうがマシだって思っちゃうじゃんか。

