この世界には、2種類の人間がいる。
妖と人、あるいは妖人と人。
どちらも人間であることは変わらず、しかし決定的に違う。
妖の寿命は40という短命から150を超えるほどの長寿まで幅広く、人間よりも虚弱なものも強靭なものもいる。
また、中には炎を纏う、治癒能力を持つなど特殊な能力を持つ妖もいた。
ただ、こうした特殊な能力を持つ妖は数少ない。多くの妖は人となにも変わらないのだ。
これほどに近い存在であるのだから、当然、妖と人の間にも子は生まれる。
生まれる子は妖か人かの二者択一であり、狭間の子、というものは存在しない。
妖か人かは、いわばゼロかイチかで決まるのだ。
どれほど血が混ざろうとも、血の配分は関係なく、どちらかの種族として生まれ、そして一度生まれた後、後天的に種族が変化することもない。
妖同士の間には必ず妖が生まれ、妖と人の間に生まれた子はかなりの高確率で妖になる。反対に、人同士の間からは基本的には人が生まれるが、極々低い確率で妖が生まれることもあった。
そして、妖の中には位が存在した。上位に位置するは鬼や龍、下位に位置するは猫又や管狐といったように。
しかし、そんな二つの種族の間には、もう一つの決定的な差異――神の悪戯か、あるいは世界の因果か、ごく稀に「運命の相手」と呼ばれる不思議な組み合わせが存在した。
人間同士、あるいは妖同士の間には決して現れない、種族の壁を超えた絶対の絆。
この「運命の組み合わせ」から生まれる子供は必ず妖となり、その子は親を越える強大な力を宿すという。
だからこそ、妖同士はきわめて子が生まれにくいという性質もあり、高位の妖の一族は血眼になって存在するかもわからないその「運命」を探し求める。
そして、運命の相手がいる人間は、生まれつき身体のどこかを美しい花が彩り、男女の区別なく「妖の花嫁」という総称が与えられる――それが、この世界の常識だった。
子を生むための存在だ、とこの運命を唾棄する人間がいる一方で、妖の花嫁たちは総じて真綿で包むように大切にされることから運命を尊ぶ人間もいる。
数は少ないが稀に強大な力を宿す妖と、普遍的でありながら多くの割合を占める人。両者はときに衝突しながら、共に人間としてこの世界で暮らしている。
しかし、何事にも例外は存在する。
花嫁の証すら燃やし尽くすほど、強く魂へ刻まれた因果。
そのために、誰一人として──本人ですら──花嫁だと気づくことのなかった少女がいた。
時を越えてなお、ただ一人に望まれ続けた少女が。
妖と人、あるいは妖人と人。
どちらも人間であることは変わらず、しかし決定的に違う。
妖の寿命は40という短命から150を超えるほどの長寿まで幅広く、人間よりも虚弱なものも強靭なものもいる。
また、中には炎を纏う、治癒能力を持つなど特殊な能力を持つ妖もいた。
ただ、こうした特殊な能力を持つ妖は数少ない。多くの妖は人となにも変わらないのだ。
これほどに近い存在であるのだから、当然、妖と人の間にも子は生まれる。
生まれる子は妖か人かの二者択一であり、狭間の子、というものは存在しない。
妖か人かは、いわばゼロかイチかで決まるのだ。
どれほど血が混ざろうとも、血の配分は関係なく、どちらかの種族として生まれ、そして一度生まれた後、後天的に種族が変化することもない。
妖同士の間には必ず妖が生まれ、妖と人の間に生まれた子はかなりの高確率で妖になる。反対に、人同士の間からは基本的には人が生まれるが、極々低い確率で妖が生まれることもあった。
そして、妖の中には位が存在した。上位に位置するは鬼や龍、下位に位置するは猫又や管狐といったように。
しかし、そんな二つの種族の間には、もう一つの決定的な差異――神の悪戯か、あるいは世界の因果か、ごく稀に「運命の相手」と呼ばれる不思議な組み合わせが存在した。
人間同士、あるいは妖同士の間には決して現れない、種族の壁を超えた絶対の絆。
この「運命の組み合わせ」から生まれる子供は必ず妖となり、その子は親を越える強大な力を宿すという。
だからこそ、妖同士はきわめて子が生まれにくいという性質もあり、高位の妖の一族は血眼になって存在するかもわからないその「運命」を探し求める。
そして、運命の相手がいる人間は、生まれつき身体のどこかを美しい花が彩り、男女の区別なく「妖の花嫁」という総称が与えられる――それが、この世界の常識だった。
子を生むための存在だ、とこの運命を唾棄する人間がいる一方で、妖の花嫁たちは総じて真綿で包むように大切にされることから運命を尊ぶ人間もいる。
数は少ないが稀に強大な力を宿す妖と、普遍的でありながら多くの割合を占める人。両者はときに衝突しながら、共に人間としてこの世界で暮らしている。
しかし、何事にも例外は存在する。
花嫁の証すら燃やし尽くすほど、強く魂へ刻まれた因果。
そのために、誰一人として──本人ですら──花嫁だと気づくことのなかった少女がいた。
時を越えてなお、ただ一人に望まれ続けた少女が。
