穢れた龍神と生贄の花嫁

「っはあ……」

 翔澪の唇がようやく離れると、水夜は息つぎをしながらぼんやりとしている。蕩けた顔の水夜を見て翔澪はたまらない感覚に襲われる。水夜の頬を優しく撫でながら翔澪は小さく呟いた。

「たまらないな……」
「?」

 何かを言われたような気がしたが聞こえなかったので水夜は蕩けた顔のまま首を傾げる。その仕草が可愛らしく、翔澪は嬉しそうに笑った。

「水夜は本当に可愛らしいな。どこにも出さず、ここにずっと閉じ込めてしまいたいほどだ。まあ、俺と一緒でなければ神域の外に出ることはできないから、実際に閉じ込めてしまっているようなものだが」

 そう言って、翔澪は少しかがみ、水夜の顔を覗き込む。

「水夜はここから出たいと思うか?」

 少しずつ頭が冴えてきた水夜は、目をぱちくりさせてから翔澪を見つめ、小さく首を横に振った。

「いえ、私は翔澪と一緒にいられるならずっとここにいたいです」

(私の居場所はここだもの。ここ以外にどこにもない)

 むしろここから出て行けと言われたら、水夜はもう生きている意味がなくなる。