穢れた龍神と生贄の花嫁

(それなら仕方ないのかしら)

 翔澪のためならば仕方がない。そう思って水夜が観念していると、翔澪は水夜の耳元にそっと顔を寄せる。

「それに、水夜は俺の花嫁。こうして密着するくらい当たり前だ」

 翔澪の低く良い声が水夜の耳元へ深く入り込んできて、水夜は体の奥から何かがせりあがってくるような不思議な感覚になった。全身の血流が一気に激しくなり、顔に熱が集中する。

「なんだ、顔が赤くなっているな、照れているのか?可愛いやつめ」

 フッと嬉しそうに微笑むと、翔澪は水夜の肩に頭をぐりぐりと押し付けた。

「少しずつ、触れ合いにも慣れてもらわないとな。今日はこのくらいにしよう。おやすみ」
「……おやすみなさい」

 水夜が消え入りそうな声で返事をすると、背後から静かな寝息の音が聞こえる。

(翔澪様、あっという間に寝てしまったわ)

 神様だからだろうか、こんなことくらいなんてことないのだろう。自分はドキドキして眠れそうにないのにと、水夜は小さくため息をついて瞳を閉じた。