穢れた龍神と生贄の花嫁

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「ちょっと!なんで汚いのよ!もっとちゃんと掃除しなさいよね!」

 水夜がいなくなった青条家では、珠奈は侍女に向かってそう罵声を浴びせ、バケツを蹴った。バケツは横転し、水が廊下に広がっていく。

「全く、お姉様だったら隅々までもっと綺麗に掃除してたわよ!」
「お、お嬢様、私たちは掃除の手を抜いているわけではありません、隅々まできちんと行っております。ただ、私たち侍女は力をもたないので掃除で場を浄化することはできません。本来、力を持つ珠奈様が掃除を行なうものでして……」
「どうしてこの私が掃除しなきゃいけないのよ!それに、お姉様だって力を持たかったのにあれだけ掃除がうまかったんだから、あんたたちももっと精進しなさいよね!」

 そう言って、珠奈はフン!とその場から立ち去った。珠奈はイライラした様子で廊下を突き進んでいく。

(お姉様、どうせもう龍神様に食べられてしまったんだろうし、呼び戻すこともできないわね)

 水夜に上げた勾玉の力の気配は水夜が生贄に差し出された日に消滅しているので、水夜ごと食べられたということだろう。

(それにしても、お姉様がいなくなってから屋敷の空気が重く感じられて嫌だわ。掃除がきちんと行き届いていない証拠よ。それなのに侍女たちは言い訳ばかりして嫌になる!)

 そういえば、水夜がいなくなってから自分の神力が少し弱まった気がするのは気のせいだろうか。それもこれも、屋敷の気が汚れてきているからなのだろうと思い、珠奈はさらに怒ったような顔で通りすがりの侍女たちを睨みつけた。