穢れた龍神と生贄の花嫁

 両手でかんざしをつかみ、鋭くとがった軸の先端を自分の喉元に向ける。

(これで喉を一突きすれば、私はもう解放される)

 神様の前でこんなことをするのは失礼かもしれない。だが、そんなふうに思いめぐらせることもできないほど、追い詰められ自暴自棄になっていた。

 ふと、異変に築いた龍神が振り返り、驚く。

──馬鹿者!

 龍神がそう言うと龍神の体が光り輝き、その光の中で姿が消えていく。次の瞬間、目の前に人が現れ、水夜の手からかんざしを奪った。

 美しい銀色の髪を緩く一つに束ね、濃い青緑色の着物を着た水色の瞳の美しい男がいる。

 まさか目の前の美しい龍神に必要とされ、花嫁となり溺愛されることになるなんてこの時は思ってもいなかった。