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高校2年の夏休みも、残すところあと10日となった頃。
特に予定もなく、自分の部屋でぼんやりと過ぎゆく時間を惜しんでいた私のもとに、突然公平から連絡が入った。
待ち合わせ場所として指定されたのは、私の家から歩いて10分ほどの距離にある大きな児童公園。
近所の子どもたちが毎日のように集まる、緑の多い広々とした場所だった。
眩しい太陽が照りつける外へ踏み出すと、咲き誇る向日葵さえも汗をかいて項垂れているんじゃないかと思えるほど、ぬるく重たい湿気を含んだ熱気が全身を包み込んだ。
私は少しでも涼を求めようと、道路の端にある街路樹の木陰を拾うようにして、一歩一歩公園へと向かった。
公園に近づくにつれて、夏の強い陽射しを弾き返すような、元気いっぱいの子どもたちの歓声が耳に届き始める。
カキーン―――。
青空に乾いた金属音が響き渡り、続いて「走れ、走れー!」と幼い声が賑やかに重なった。
ボールがバットの芯に当たるその爽快な音を聞くだけで、視界の中の夏の色が一段と濃くなるような気がした。
「池内っ―――!!!」
公園の入り口に足を踏み入れた途端、大音量の歓声にも負けないくらい大きな声が、私の名前を呼んだ。
声のした方へ視界を向けると、泥だらけになって走り回る子どもたちのすぐ横にある古びた水道で、公平がこちらを向いて立っていた。
照りつける太陽の光を背に受けながら、どこか照れくさそうに、けれど得意気でクールに片手を高くかかげてみせる公平。
水滴を弾く公平の笑顔を見た瞬間、蒸し暑さで重かった私の足取りは、一気に軽くなっていった。


