全てがキミだった


公平のアイコンやアカウント名は、この6年の間に何度か変わっていた。
それでも、通知に表示されたその文字を見た瞬間に、これが公平からのLINEだとすぐに分かった。

だって、私は、救いようのないほどの公平依存症なのだから。

公平から届いた大切なメッセージは、間違えて削除してしまったり画面の奥へ埋もれてしまったりしないよう、すぐにトークをピン留めし、スクショを撮って鍵付きのアルバムへと保存した。
彼から届く一文字一文字が、私にとっては繋がっていられる命綱みたいなものだった。

こんなに息もできないくらい、深く公平を好きになってしまったというのに。
それなのに私は、あの頃から一度だって『ミサキ』から公平を奪い取ろうだなんて、大それたことは考えられなかった。

好意を悟られて拒絶されるのが怖くて、嫌われて関係が途切れてしまうことが死ぬほど恐ろしくて。
私にできることと言えば、彼にとって心地いい「物分けのいい女友達」の立ち位置に身を置き、ちょうど好い距離感を必死で保ち続けることだけだった。

奪う覚悟も、傷つく勇気もない。
ただの、救いようのない臆病者だ。

画面の中でピカピカと光る彼の名前を見つめながら、私は自分の卑怯さと情けなさに、そっと深くため息をついた。