全てがキミだった


「あ、亜美!! よかった……大丈夫?」

暗闇に落ちてから、どれくらいの時間が経ったのだろう。
たぶん、ほんの数分後のことだったと思う。

まぶたの裏側にぼんやりと光が差し込み、重い目をゆっくりと開けると、私は一面真っ白な世界の中にいた。

鼻をくすぐるツンとした消毒液の匂いと、洗いたての清潔なシーツの匂い。
その独特な空気に、混濁してもうろうとする頭が「ここは保健室なんだ」とゆっくり認識していく。

ズキズキと脈打つように痛むおでこを押さえながら、ゆっくりと体を起こそうとした、その時だった。

「あ!ダメだよ!」

目の前にいた香織が、まるで叫ぶような大声を上げた。
その突き刺さるような高い声が脳裏に響いて、頭の奥がさらに激しく疼き出す。

「いった……っ」

思わず顔を歪めて顔をしかめると、香織は慌てて私の肩に手を伸ばし、崩れそうになる体を優しく支えてくれた。

「亜美、まだ動かないほうがいいよ! じっとしてて」

心配そうに眉を八の字にして顔を覗き込んでくる香織の姿に、私は深く呼吸を整えながら、ゆっくりとベッドの柵に背中を預けた。