周りの女子たちから黄色い声援を浴びて「学校一のイケメン」として持て囃されるような、そんな分かりやすく派手な存在ではなかった。
けれど、なぜか不思議なほどに、私の目はいつも真っ先に彼を捉えてしまったんだ。
香織が「ねえ見て、かっこいい!」と騒いで校庭の真ん中に視線を向ける時、私がそっと目を凝らすのは、いつもその正反対の場所。
賑やかな輪から少しだけ離れた日陰で、ボールを淡々と蹴っていたり、友達とくだらないことで口角を上げて笑い合っていたりする公平の姿だった。
私は香織に合わせるように頷きながらも、決して彼女と同じ方向には顔を向けず、ただひたすらに、遠く離れた場所にいる公平のことばかりを目で追っていたんだ。
客観的に見れば、当時の公平はクラスの中で特別目立つタイプというわけではなかったのかもしれない。
騒がしく目立とうとする男子たちの陰に隠れてしまうような、ごく普通の男の子。
だけど、あの頃の私にとってだけは、世界中の誰よりも眩しく、光を放って輝いているように見えていたんだ。
私は、ただただ公平という存在に憧れていた。
けれど、その頃抱いていた感情はまだ、胸が苦しくなるような『好き』という恋心ではまだなかった。
手が届かない木の上にある綺麗な果実を遠くから眺めているような、ただ純粋で澄み切った憧れ。
自分とは住む世界が違う遠い存在で、関わることなんて望まず、ただ教室の片隅から陰で見守っているだけで十分に満たされるような――…
当時の私にとって公平は、まさにそんな、雲の上の宝物のような存在だった。


