全てがキミだった


――――――――――
――――――――



2年生に進級したての春、私は公平とはなんの接点もないまま、ただ同じ教室の空気を吸っているだけの関係として過ごしていた。

もともと男子と話をするのが極度に苦手だった私は、自分から声をかけるなんてことは、絶対にしなかった。
というか、できなかった。

1年の頃からずっとクラスが一緒だった香織と、休み時間も移動教室のときも片時も離れずに一緒にいたから、男子とわざわざ会話をするなんて選択肢自体、最初から頭の中に存在していなかったのだと思う。

だけど、別に男子そのものに興味がなかったわけじゃない。

ただ、人一倍奥手だった。
ほんとうに、ただそれだけ。

年相応に密かに好きな人ができては、遠くから見つめて一人で勝手に胸をときめかせたりもしていた。
もちろん、自分から告白なんて大それた真似は一回もしなかったけれど。

学校中で「かっこいい」と人気のある男子の噂話にも、それなりに興味はあった。
香織と一緒に「あの人って本当はどんな性格なんだろうね」なんて、ノートの端にヒソヒソ書き合いながら、どんな人なのかって二人で調査をするくらいには。

だからもちろん、公平の存在だって、2年になって同じクラスになるずっと前からちゃんと知ってはいたんだ。