驚いた。
綾がこんなに真面目な顔をしてそんなことを口にするなんて。
もちろん、三姉妹の中でも綾は昔から一番しっかりしていて真面目な性格だ。
けれど、恋愛についてこれほどまっすぐに、自分の言葉で語ったことなんて今まで一度もなかった。
「……亜美の話を聞いてたらさ。なんか、彼氏とのことを考えちゃった」
「……は?」
「『は?』って何よ。喧嘩売ってんの?」
「……え、待って、もう一回言って」
「だから、彼氏だって言ったの」
「誰の!?」
「この話の流れで、他に誰がいると思うわけ?」
横目でジロリと睨み上げてくる綾を、私はただただ目を白黒させながら見下ろすことしかできなかった。
――綾に、彼氏?
『男なんて芸能人しか興味ありません』と断言していた、あの綾に?
今日一番の衝撃に、頭の中の追憶が一瞬で吹き飛んでしまうほど、私は心の底から驚いていた。


