全てがキミだった


もう、『もしかしたら』なんて淡い奇跡も、『1パーセント』という惨めな希望の欠片すらも、どこにも存在しなかった。
公平の心はもう完全に、100パーセント、ミサキのものになってしまった。

「……っ」

溢れ出した熱い雫が、頬を伝って落ちていく。

コロコロと、ボロボロと。
止める術もないまま、静かな夕暮れの空気にこぼれ落ちていった。

……ねぇ、公平。

さっき二人で見送ったあの紙飛行機は、どこまで飛んで行ったんだろうね。
本当は公平の強い想いだけを乗せて飛んでいくはずだったのに、私の一言のせいで、余計な恋心まで一緒に乗せてしまったから。
重みに耐えかねて、どこか途中の街路樹の枝にでも引っかかって、羽を休めることもできずに寂しく揺れているんじゃないかな。

公平は、私の溢れ出る涙を指先で拭ってくれたりはしなかった。
そして、失恋した痛い心を慰めるように、優しく頭を撫でてくれることも、なかった。

それが、彼の引いた最後の線引きなんだって、わかってしまったから。
余計に苦しくて、切なくて、惨めで……。

期待させるような優しさは二度と与えないという、彼なりの誠実で、残酷な拒絶。

公平はただ無言のまま、私が泣き止むのをじっと待つように、静かに隣に寄り添い続けてくれた。
触れ合わない肩と肩の間に、風が冷たく吹き抜けていく。
夕日が沈む中、私達の影は、屋上のコンクリートに二度と交わることなく、寄り添うように並んでいるだけだった。