全てがキミだった


「本当に……ごめん」

耳元で途切れ途切れに聞こえる彼の声が、情けないほど震えている。

「俺は……おまえの気持ちを知っておきながら、それでもずっと傍にいた。だけど……おまえを騙していたわけでも、利用していたわけでもないんだ。嘘じゃない。俺はただ、本当にお前と一緒にいたかっただけなんだよ。自分でもよく分からないけど……おまえじゃなきゃダメだった。他の誰かじゃ、絶対にダメだったんだ」

身勝手で、けれどあまりにも痛々しいほどの告白。
そのまま一生、私を離さないでいてくれるのかと錯覚するほどの強さで抱きしめていた腕が、ゆっくりと、離れていく。
すうっと肌を掠める夜風の冷たさが、さっきまでのぬくもりを無慈悲に奪い去っていった。
公平は私と視線を合わせないまま、絞り出すように言葉を続けた。

「……だけど」

その後に続く言葉がわかりすぎて、私の胸を鋭く突き刺す。

「俺はやっぱり……ミサキのことが好きだ。どんなに時間が経っても、この気持ちだけは絶対に変わんねぇんだよ」

私は反射的に、強く、強く目を閉じた。
視界を閉ざさなければ、涙と一緒に心まで決壊してしまいそうだったから。

頭の中が真っ白になり、公平の声がまるで遠い水底から聞こえてくるように歪んでいく。

紙飛行機を飛ばした時、自分の中で恋はもう終わったのだと、そう納得させたはずだった。
なのに……心のどこかで「もしかしたら」なんて、惨めに期待を捨てきれていなかった愚かな自分もいたんだ。

終わったと思い込みたかっただけで、終わらせる勇気がなかっただけの私。

でも、だめだ。
もう逃げられない。

彼の口から直接突きつけられた決定的な言葉によって、今、この瞬間に。
私の長すぎた片想いは、本当の終わりを迎えてしまった。

瞼の裏側で、熱い雫がボロボロと溢れ出し、屋上の静寂の中に、静かに落ちていった。