全てがキミだった


一体、公平にとっての私は、どのような存在だったのだろう。
こんなにも同じ季節を巡り、同じ風を感じ、二人だけの秘密のようにあらゆる時間を共有し合ってきた。

放課後の夕闇に包まれたプール、ハサミの音が響く静かな部屋、屋上で交わしたとりとめのない言葉。
誰よりも間近で、公平の少し丸まった大きな背中を見つめてきたのは私だった。
誰よりも長く、濃密な時間を共に過ごしてきたはずだった。

――私があなたに恋心を抱くには、十分すぎるほどの時間だったのに。

期待させるような言葉をいくつも投げかけ、無防備な笑顔で懐に飛び込んできて、私の心に消えない恋心を芽生えさせた。
こんなにも深く好きにさせておきながら、いざ想いを口にすれば、傷ついたような、申し訳なさそうな顔をして黙り込む。

引き留めるような真似をしておきながら、最後にはいつも『ごめん』という透明な壁を隔てる。
勝手に好きにさせて、勝手に傷ついて、勝手にそんな顔をするなんて――。

公平は、卑怯過ぎる。

茜色から深い群青へと変わりゆくグラデーションの空の下、苦しそうに歪む彼の顔を見つめながら、私は溢れ出しそうな涙をぐっと奥へ押し押し込んだ。

ずるいよ、公平。

そんな顔をされたら、私はあなたを嫌いにすらなれないじゃんか。