全てがキミだった


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「……ねぇ、公平ってさ、絶対にホストに向いてると思うんだよね」

懐かしいプールをあとにし、思い出の余韻が残る校舎の廊下を歩いていると、前を行く綾がふいに振り向いてそう言った。

「……ホスト?」

思いもよらない単語が飛び出して、私はそのまま壊れたオウムみたいに言葉を返す。

「そう、ホスト。だってさ、女の子をその気にして口説くのが天才的に上手そうでしょ? 実際、亜美のことなんて別に好きでもなんでもなかったくせに、期待させるような甘い言葉をかけ続けてきたんだから。天然のタラシだよ、ほんと」

あまりにも容赦のない分析に、胸の奥がチクリと痛む。

「……なんとも思われてなかったわけじゃないよ」

小さな抵抗のようにつぶやくと、綾は呆れたように足を止め、振り返ってじっと私を見つめた。

「へえ? じゃあ聞くけど、当時の亜美から見て、公平にとっての『可能性』ってどれくらいあったわけ?」
「……1パーセント、くらい」

蚊の泣くような声で答えると、綾は心底信じられないといった風に両手を広げてみせた。

「はぁ!? たったの1パーセント? 正気?」
「でも……! その1パーセントが、あの時の私にとってはすごく大きかったんだよ。ゼロじゃないなら、もしかしたらって夢が見られたんだから……」

必死に弁解する私を見て、綾は重いため息をひとつ吐き出し、静かに首を横に振った。

「ミサキって女が99パーセントで、亜美がたったの1パーセント――。そんなの、最初から勝ち目なんてあるわけないじゃん」

突きつけられた残酷で正確な数字が、無情にも静かな廊下に響き渡った。