全てがキミだった


『ごめん。おまえの気持ちは嬉しいよ。中途半端なことしてる俺が悪いのはわかってる。……だけど俺は、やっぱりミサキのことが好きだ』

――痛かった。

言葉そのもの以上に、その時の公平の、どこか遠くを見つめるような、ミサキを想う切ない目が何よりも痛かった。
いっそ記憶を何もかも綺麗に忘れてリセットできたら、どれほど楽だろう。
いつか次の新しい恋を見つけて、あのガムテープでグルグル巻きにした箱を笑って開けられる日が来るのだろうか。

『……過去の楽しかった思い出』として、いつか振り返られる日が来るのだろうか。

私が好きだと伝えるたびに、公平は申し訳なさそうな顔をして、その瞳から輝きを失っていった。
大好きな人を、自分の「好き」という気持ちで苦しめていたのだという事実が、今でも暗い影となって胸に落ちている。

「お母さんだってさ、口には出さないけど陰でずっと心配してるんだからね。……ちゃんと将来のこと、考えなよ。おやすみ」

塗っていたペディキュアが乾いたのを確認すると、綾はパタンと部屋の電気を消して、そのままベッドに潜り込んだ。

暗闇に取り残された私は、息をひそめながら、ガムテープの巻かれた箱のシルエットをじっと見つめていた。