どこか勝手に「自分と同じ側にいる」と高を括って安心していたのに、急に自分だけがその場に取り残され、香織に置いて行かれたような気がして心がずんと沈み込んでいった。
だけど、不思議と焦る気持ちは湧いてこなかった。
……私は私、香織は香織だから。
そんな風にどこか変な壁を作り、自分の不甲斐なさから必死に目を背けようとする。
本当は、ただ香織が羨ましくてたまらなかったから。
大好きな人にちゃんと愛されて、自分も真っ直ぐにその人を想って。
そして、大好きな人の未来のために「自分が支えていこう」と心から決めて前を歩いている。
同じ17歳で、同じ高校2年生という時間を生きているはずなのに。
目の前にいる香織が、急に遠い世界の大人に見えて仕方がなかった。
私にも、いつか誰かをそんな風に真っ直ぐ愛せる日が来るのだろうか。
――公平じゃなかった。
香織が言っていたように、「公平君じゃなかったんだ」と笑って吹っ切れる日が、本当にこの先訪れるのだろうか。
夕日に染まる教室の中、幸せそうに陸との未来を語る親友の笑顔を見つめながら、私は答えの出ない問いを胸の奥にそっと閉じ込めた。


