「公平君とあの人、幼馴染なんだってさ」
それは思っていた通り、大して時間がかかることもなく私の耳に入ってきた。
真実を教えてくれたのは、親友の香織だった。
私が公平のことを好きだと知っていながら、香織は変に気遣って伏せたりせず、残酷な事実をありのままに話してくれた。
もしここで香織に隠されたところで、他の誰かの噂話から耳に入るのは時間の問題だということを、香織自身もよく分かっていたんだと思う。
変に言葉を飾らず、真っ直ぐに伝えてくれた。
そのフラットな優しさのおかげで、香織との関係が気まずくならずに済んでいる。
……けれど、分かっていても、やっぱり胸の奥のどこかが鋭く痛んだ。
幼馴染。
時間をかけて積み重ねられた二人の絆には、後から出会った私が逆立ちしたって敵うはずがない。
「世の中にはさ、いろんな男がいるじゃん。いつか『あ、公平君じゃなくても良かったんだ』って思える日が絶対にくるよ。……きっとね」
励ますようにそう言うと、香織は教室の窓枠に肘を預け、身を乗り出すようにして外を眺めた。
誰かを探すように広く青いグラウンドを見渡していた香織だったけれど、ふと目当ての姿を見つけたのか、急に表情をパッと綻ばせた。そして、大きく手を振りながらグラウンドに向かって嬉しそうに声をあげる。
恋に夢中で、眩しい笑顔を浮かべる香織の横顔。
その姿が、好きな人の「幼馴染」という言葉に打ちのめされている今の私には、少しだけ眩しすぎてやっぱり直視できなかった。


