全てがキミだった


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「大丈夫だよ。公平も、夢、追える日はきっとくるよ」

帰り道。

夕暮れ特有の生ぬるい風を全身に浴びながら、隣を歩く公平に向けて優しく言葉をかけた。

確信なんて何一つなかった。
けれど、将来の進路のことで珍しくひどく落ち込んでいた彼に、少しでも光を与えたかったのだ。

高校2年生の今、もちろん私自身にも「夢」なんて呼べるほどのカッコイイものはなかった。
けれどこんな私でも、進む道はいつか見つかるんじゃないかという淡い期待を胸に、手探りでも夢というものを諦めずに追い続けてはいた。

だからこそ、今の公平が抱えている焦りや迷いが、痛いほどによく分かった。

「……おまえは? どうすんの、進路。やっぱ大学行くの?」

少し歩幅を緩めた公平が、横顔のまま尋ねてくる。

「ううん、大学は無理でしょ。ほら、私頭悪いし。あと1年あるって言っても、今から勉強したってもう到底追いつかないと思う。それに、高いお金払って大学行っても特に学びたい専門もないし……まぁ、高校卒業したらそのまま就職でもしようかな〜」
「そっか――……」

そう言って静かに微笑む公平の顔は、落ちていく夕日のオレンジ色に染まっていた。

どこか切なさを含んだその表情が、あまりにも綺麗で。

ただの同級生として並んで歩いているこの帰り道が、永遠に続いてくれればいいのにと、私は密かに願っていたのだった。