綾から、またお母さん宛てに手紙が届いた。
今日は、何でもない日なのに。
まぁ、綾は、特別なことが何もなくてもこうやって定期的に手紙を送ってくる。
離れて暮らすお母さんやお父さんに、無用な心配をかけたくないのだろう。
年下のくせに本当にしっかりしているし、どこまでも気配りのできる自慢の妹だ。
さてと、私も負けていられない。
そろそろ真剣に履歴書でも書くか。
いつまでもこのままじゃいられないし、ちゃんと正社員の仕事を探して安定した生活を送らねば。
立派に自分の道を歩んでいる妹たちに恥ずかしくないように、私も前を向いて歩き出さなきゃ。
気合いを入れ直し、リビングの使い慣れた机に腰を下ろして、真新しい履歴書を広げた――まさに、その瞬間。
「はっ!?」
お母さんの素っ頓狂で大きな驚き声が、リビング全体に響き渡り、私の耳を激しく貫いた。
思わずペンを握る手が止まり、私は目を丸くしてお母さんの方を振り返る。
いつもは穏やかなお母さんが、手紙を抱えたまま固まっていた。


