全てがキミだった


「そうだな。次はさ、池内。おまえの番だよ」

――え?っと、公平を見上げる。

「いい男を見つけて、今度はおまえが幸せを掴む番」

『俺より、いい男を見つけろよ』

そう言葉を付け足す公平に、わたしは目を丸めてプッと吹き出した。

「何様だよ」

笑いながら言うと、

「俺様だよ」

と、ふざけた言葉が返ってきた。

「一度言ってみたかったんだよ」なんて、悪戯っぽく笑いながら言っている。
相変わらずの調子の良さに、胸の奥に残っていたちくちくとした痛みが、ふっと軽くなるのを感じた。

「当たり前じゃん。公平なんかより、ずーっといい男見つけてやるから」

強がり半分、本気半分の声でそう返すと、公平は満足そうに「おう、期待してるわ」と笑った。

公園を渡る風が、ふたりの間を優しく通り抜けていく。
ずっと縛り付けられていた過去から、解き放たれた瞬間だった。
17歳のあの日、ボールを受け取って涙を呑んだ私に、23歳の私は胸を張って教えてあげられる。

大丈夫、私はちゃんと笑って、自分の足で未来へ歩き出せているよ、と。