全てがキミだった


「だからさ、今のおまえの気持ちもわかる……」

『ごめんな』

私は、何度公平の口から“ごめん”という言葉を聞いただろう。

「俺さ、マジで池内の事好きなんだ」

――…っ!!!
ドクンっと、鼓膜を揺らすほど激しく心臓が射ぬかれた。
息を吸い込むことすら忘れ、目の前の公平を見つめる。
その言葉の意味を、私は説明されなくったって痛いほど理解できる。

公平の、私に対する“好き”は、ミサキに対する“好き”とは決定的に違うから。
それは異性としてじゃない。
ただの友達、としてだ。

「池内は、俺の全てだった」

途端に視界が歪み、温かい涙が溢れ出そうになるのを必死でこらえた。

「俺の青春時代の思い出ってさ、おまえと過ごした事だけしかないんだよ。俺にとって、池内は凄くでかい存在なんだ。俺の思い出全てが、おまえだから。こっちに戻ってきて、改めてそう思った」

斜陽が公園の木々を黄金色に染め上げていく。
光の粒が落ち葉の海を揺らすなか、手の中の黒いボールを見つめる公平の輪郭が、夕暮れのグラデーションに溶け込んでいくようだった。

ずっと欲しかった言葉。
けれど、絶対に欲しくなかった答え。

17歳のあの夏から23歳の今この瞬間まで、私が抱え続けてきた切ない恋心は、彼の眩しすぎる「思い出」という優しさに、静かに包み込まれていく。