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「池内っ!!こっち」
公園のベンチに座っていた公平が、私に向かって手招きした。
私は、あのボールの入った小さな紙袋を鞄に隠して、公平の元へ走る。
「ごめんね。急に呼び出して」
公平に返す場所は、ここしかないと思ったから――。
「べつにいいよ。暇してたとこだし」
「……そっか」
微笑みながら言ったつもりだけど、ちゃんと笑えているだろうか。
「でも、驚いた。おまえからラインがくるなんて。何年振り?いっつも俺からだったじゃん」
そう言った公平は、悪戯に笑って私にラインの画面を見せつけた。
「ごめん」
「別に謝らなくていいだろ。おまえからラインくるなんて驚いたけど、嬉しかったし」
私は公平の笑顔を見て、鞄の持ち手をギュッと握りしめた。
その奥には、ずっと部屋の箱に封印していた、あの黒い野球ボールが静かに収まっている。
公園の木々を吹き抜ける風が、かすかに落ち葉を揺らした。
「……それでさ、急に呼び出したりして、どうしたんだよ?」
首をかしげる公平の瞳は、高校の頃と変わらず、まっすぐでキラキラと輝いていた。
その眩しさに胸の奥がキュッと痛むのをこらえながら、私はゆっくりと呼吸を整えた。
今日こそ、すべてにけりをつけるために。


