全てがキミだった


今でも変わらず、公平の事が好きだ。

再会して、改めてそう思った。
公平は、やっぱりキラキラ輝いていたから。
このボールを返せば、すべてが終わる。
今までの事は、私の中の大切な思い出の一つになる。

あの時、公平がこのボールを渡して、私との微妙な関係を終わらせたのなら、私も、このボールを公平に返して、この気持ちにけりをつけよう。

私は、真っ黒なボールを大切に紙袋に入れ、公平の元へ返す準備をした。
ずっと胸の奥に引っかかっていた棘が、ほんの少しだけ取れたような気がした。
17歳のあの頃、受け取ることしかできなかった私が、23歳になった今、自分の意志でこのボールを差し出す。

恋人にはなれなかったけれど、彼と過ごした時間も、抱え続けた痛みも、全部私を形作る大切な一部だったのだと、ようやく認められた気がする。
紙袋の持ち手をしっかりと握りしめる。

「……よし」

小さく口にして部屋のドアを開けると、一階からは変わらずお母さんと梓の賑やかな笑い声が聞こえていた。

私は静かに階段を降り、公平のもとへ踏み出すための靴に足を滑り込ませた。