私は、ガムテープでグルグル巻きにした箱を手に取った。
これを封印して以来、この箱には指一本触れていない。
ただ、毎日のように眺めていただけ。
どうする事も出来ずに、ずっと公平を想い続けてきた。
高校の体育祭の日に、公平からあのボールを受取って、『さようなら』と心で呟いた。
公平から離れる為に、私はあの真っ黒のボールを受け取ったんだ。
それなのに、どうした。
23歳になった今でも、どうしてこんなに引きずってしまうの?
月日が流れても、あの頃の痛みがちっとも薄れてくれない。
こんなにも公平から離れることが出来ないなんて――。
手に持った箱の、固く貼りついたガムテープに指をかける。
爪がテープの端を噛み、ベリベリと不快な音を立てて剥がれていく。
封じ込めていた過去が、暗闇から溢れ出してくる気がした。
この箱……。
もう、開けてしまおう――…。
呼吸を整え、私は剥がしかけたテープを一気に引き裂いた。
今度こそ、本当に『さようなら』


