全てがキミだった


「前にさ、屋上から飛ばしたでしょ?」

私がそう言うと、公平は額に微かにシワを寄せて記憶を探るように首を傾げた。

「紙飛行機、作って飛ばしたじゃん」
「あぁ、あん時ね。……あれとなんか関係あんの?」

私は少しの間を開けると、可笑しさを隠すように肩をすぼめながら、隣に座る公平の顔を盗み見た。

「あの時に使っちゃった。進路希望の用紙」

苦笑しながら白状すると、公平の目がまん丸に見開かれた。
あの初夏の風が強い日、屋上の柵から勢いよく投げ出した、白い紙飛行機。
自分の将来も、やりたいことも何ひとつ書けないまま真っ白だったあの用紙は、今頃どこへ行ってしまったのだろう。
きっと学校の裏手にある雑木林の、どこかの木の枝にでも引っかかって、今日の雨に打たれてどろどろに溶けて、静かに自然にかえっていったのかもしれない。
私のまとまりきらない、この想いと一緒に。