全てがキミだった


公平と並んで校舎の壁に背中を預け、そのまま膝から力が抜けるようにずるずると地面へ座り込んだ。
大きく息を吸い込むたびに、冷えた空気が入ってきて肺がぜぇぜぇと喉の奥で音を立てる。

「田辺の野郎、無駄に追ってきすぎなんだよ……っ。マジきついんだけど」

どんな競技でも涼しい顔をしている公平でさえ、さすがにこれだけ本気で走り続ければへとへとのようだ。
首筋に汗の粒を浮かべ、乱れた息を整えようとしている。

私も疲れと動悸がひどすぎて、すぐにはまともに声が出せずにいた。
二人で肩を並べて荒い息を吐き出していると、公平がふいにこちらへ視線を向けてきた。

「そういえば池内、さっき田辺が言ってたのってなんのことだよ」

私は、さっき……?と眉をひそめて首をかしげる。

「ほら、さっき叫んでたじゃん。進路希望用紙がどうのって」
「あぁ……」

答えながら、追いかけてきた担任の必死な顔と怒鳴り声を思い出し、思わず小さな苦笑いが漏れた。
公平は肩を激しく上下させながら、どこか探るような、けれどまっすぐな瞳で、座り込む私の横顔をじっと見つめていた。