全てがキミだった



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「亜美、そろそろだよ! 準備いい!?」
「わかってるってば……! あまり大きい声出さないでよ、香織。目立つし、恥ずかしい……」

高校生活の中で、大きな目玉となる体育祭。

昨日から一晩中降り続いていた激しい雨のせいで、グラウンドの土はたっぷりと雨水を含み、足を踏み出すたびに重たく沈み込むひどいコンディションだった。

運動靴の底には重たい泥がまとわりつき、歩くだけでも一苦労だというのに、グラウンドを取り囲む生徒たちの熱気と歓声は、そんな泥んこの状況なんてまるで気にしていないかのように最高潮へと達していた。

それもそのはずだった。
誰もがこの瞬間を、首を長くして待っていたのだから。

理由は――次に行われる、この学校の名物競技にあった。

うちの高校で毎年最大の盛り上がりを見せる、定番の「仮装リレー」。

男子たちだけに出場が許された、色とりどりの衣装と意地がぶつかり合う、まさに体育祭のハイライトとなる花形競技だった。